最初に
アオリイカを釣っていると、サイズの違うイカが同じ場所にいることがあります。
100gほどの新子の群れもいれば、500g級が混ざることも。
では、同じ群れのイカたちは同じ卵から生まれた兄弟なのでしょうか?
ここでは、アオリイカの群れの成り立ち・成長差・群れの標準構成数を科学的に解説します。
アオリイカの群れは同じ抱卵から孵化したもの?
結論から言うと──
「同じ群れ=同じ卵から孵化した兄弟」とは限りません。
アオリイカの卵は「卵束(らんそく)」というブドウの房のような形で産みつけられ、
1つの抱卵には平均で300〜500粒前後の卵が入っています。
しかし──
・孵化時期は水温でずれる(1〜2週間差)
・海流や波で拡散する
・幼体の移動範囲が広い
このため、同じ場所にいる群れでも、異なる抱卵由来のイカが混ざっていることがほとんどです。
つまり、アオリイカの群れは「家族」ではなく、
近い時期に孵化し、似た成長段階の個体が自然と集まった混合集団です。
成長スピードの違い(最小と最大の差)
アオリイカは外見がそっくりでも、成長速度には個体差があります。
環境・水温・エサ量によって、最小と最大で3倍近い差が生じます。
| 条件 | 成長速度 | 1か月後の体重例 |
|---|---|---|
| 豊富なエサ・高水温(26〜28℃) | 速い | 約200〜250g |
| 少ないエサ・低水温(20〜22℃) | 遅い | 約80〜120g |
そのため、同じ群れでも100g〜300gほどの幅があることが珍しくありません。
特に秋シーズン(新子期)は、孵化時期が数週間ずれているため、
群れの中に「成長の早い個体(ボス的存在)」が混ざって見えるのです。
群れの平均構成(100g〜1kgサイズ別)
アオリイカは基本的に単独行動もできるが、成長段階で群れ規模が変化します。
以下はフィールド観察・水中カメラ・漁業データをもとにしたおおよその平均値です。
| サイズ帯 | 群れの標準数 | 備考 |
|---|---|---|
| 約100g(新子) | 20〜50杯 | 小魚の群れに付いて行動。活発で浅場を回遊。 |
| 約200g(中型) | 10〜20杯 | まとまりが強く、砂地や岩礁エリアで定着傾向。 |
| 約500g(若親) | 3〜8杯 | 群れを形成しつつも個体行動が増える。ペア行動あり。 |
| 約1kg(親イカ) | 1〜3杯 | 基本は単独またはペア。縄張りを持つこともある。 |
つまり、釣りの現場で「群れが入った」と感じるのは、100g〜300g前後の新子層が多いということ。
春の親イカシーズンになると、数が少なくなり、
「一杯釣れたらしばらく反応がない」のは、群れではなく単独行動だからです。
群れの動きと釣果への影響
アオリイカの群れは、ベイトフィッシュ(小アジ・キビナゴ・カマス幼魚など)に連動して動きます。
群れが入ると、一斉にエギやヤエンに反応することもありますが、
群れの規模が小さいと、1〜2杯で反応が止まることもあります。
群れの構成が変化するタイミングは、以下のようになります。
| 時期 | 主な群れ構成 | 特徴 |
|---|---|---|
| 6〜8月 | 新子群(100g前後) | 群れが大きく、サイトで確認しやすい。 |
| 9〜10月 | 中型群(200〜400g) | 群れが小さくなり、釣果が安定。 |
| 11〜1月 | 成熟個体(500g〜1kg) | 群れ崩壊。単独またはペア行動へ。 |
群れの中のリーダー個体とは?
水中観察によると、群れの中には最も大きなリーダー的存在がいます。
この個体が先頭でベイトを追い、他の個体が追従します。
釣りでこのリーダーを釣り上げると、群れ全体の警戒心が一気に高まる傾向があります。
そのため、最初の1杯をかけたら素早く取り込み、次を狙うテンポが重要です。
特に秋の堤防エギングでは、この「リーダー抜き」が釣果を左右します。
まとめ
・アオリイカの群れは、同じ抱卵由来とは限らない。
・孵化時期や成長速度の違いにより、最小と最大で約3倍の差が出る。
・100g級は20〜50杯、1kg級は1〜3杯が標準的な群れ構成。
・リーダー個体を釣ると、群れ全体が警戒するため、スピーディーな対応が釣果の鍵。
要約
アオリイカの群れは“兄弟”ではなく、“同時期に成長した仲間”。
水温・エサ量・生まれのタイミングでサイズ差が生じる。
群れの規模は成長に比例して小さくなり、
最終的に単独行動へと移行する──これがアオリイカの自然な生態リズムです。


