アオリイカの感覚は人間以上に繊細
アオリイカは「海の忍者」と呼ばれるほど視力が優れていることで有名ですが、それだけではありません。
実は「味」と「匂い」を感じ取る能力も非常に発達しています。
この二つの感覚は、エサを見極めたり外敵を察知するために欠かせない武器になっています。
腕の吸盤と口周りで「味」を感じる
アオリイカの腕には無数の吸盤が並んでいます。
一見すると獲物を捕まえるための器官ですが、実はそこに「味を感じるセンサー」が備わっています。
・吸盤や口の周りには味覚受容体が存在し、触れたものの化学成分を瞬時に分析
・「食べられるか」「危険か」を判断するセンサーの役割
・釣り人が使うエサ(アジなど)に触れた瞬間、鮮度や違和感を判別する
そのため、少しでも違和感があればアオリイカはエサを離してしまいます。
これが「アオリイカがエサを抱いたのにすぐ放す」原因のひとつです。
漏斗(ろうと)で「匂い」を察知
アオリイカには「漏斗(ろうと)」と呼ばれる器官があります。
本来はジェット噴射で海水を噴き出し、素早く泳ぐ推進力の役割を持っています。
しかし驚くべきことに、この漏斗は「匂いを感じる嗅覚器官」としても働きます。
・海中に漂うアミノ酸などの成分を検知
・エサの居場所を匂いで探知
・仲間や外敵の存在を察知する役割もあると考えられている
つまり、アオリイカは「目で見て」「腕で味を確かめ」「漏斗で匂いを嗅ぐ」という三段構えでエサを選んでいるのです。
釣り人にとって重要なポイント
この感覚の鋭さは、釣り人にとっても大きなヒントになります。
・アオリイカは鮮度の落ちたエサを見抜くため、活きのいいアジが有利
・人工エギでもリアルな匂いや味のコーティングが効きやすい
・釣れないときは「エサの鮮度」「仕掛けの違和感」を疑うべき
特にヤエン釣りや泳がせ釣りでは、アオリイカが「違和感を覚えて放す」瞬間がしばしばあります。
それは人間の目には見えなくても、アオリイカの感覚には確実に伝わっているのです。
まとめ
アオリイカは、
・吸盤と口周りで「味」
・漏斗で「匂い」
を感じ取りながら生きています。
その繊細な感覚は、釣り人が少し手を抜けばすぐに見抜かれてしまうほど。
だからこそ、エサの鮮度管理や自然な誘いが釣果を大きく左右するのです。
アオリイカ釣りを成功させたいなら、「味覚」と「嗅覚」という隠された武器を理解することが重要です。


