ヒラメ・カレイは体が半分しかない? もう半分はどこに消えたのかを科学的に解説

釣り人がヒラメやカレイを初めて見たとき、

「この魚、体が半分しかない?」と驚いた経験はないでしょうか。

体が極端に薄く、左右非対称の目が並ぶ姿は、まるで片側をどこかに置き忘れたようです。

しかしこの形は、進化の過程で選ばれた最高のサバイバルデザインです。

ここでは「なぜ平べったいのか」「もう半分はどこへ?」を科学的に解説します。


1. ヒラメ・カレイの体は「忘れ物」ではなく進化の結晶

ヒラメやカレイはカレイ目(Pleuronectiformes)に属する魚です。

元々は他の魚と同じように左右対称で普通に泳ぐ魚でした。

しかし長い進化の過程で、海底での生活に適応するために体を横倒しにして暮らす形を選びました。

その結果、体が極端に平たくなり、片側に両目が移動する独特の形が生まれたのです。

つまり「半分が消えた」のではなく、元の体が変形して平面化した結果なのです。


2. 進化の秘密:幼魚時代は普通の魚だった

・ヒラメやカレイの稚魚は、孵化直後はマイワシのように左右対称の魚形をしています。

・成長に伴い、体を横倒しにして海底に張り付きやすくなり、片側の目が体を越えて移動します。

・この変態は約1か月ほどで完了し、成魚の「平べったい体+両目片側」スタイルが完成します。

幼魚時代に普通の形を持つことは、進化の証拠として非常に興味深く、

科学者からも「生きた進化の教材」と呼ばれています。


3. 体が平たいメリット

ヒラメやカレイが半分のように見える体には、海底生活を生き抜くための数々のメリットがあります。

① 保護色で完全擬態

・体の上面には砂や岩の色に合わせて変化する色素細胞があり、海底と同化して外敵から身を守ることができます。

② 砂地での待ち伏せ狩り

・平たい体で砂に潜り、上から獲物を見上げながら一瞬で飛び出して捕食します。
・特にヒラメは時速70kmに達する瞬発力を誇ります。

③ 水流抵抗の低減

・体が薄いことで海底の潮流に押し流されにくく、エネルギーを節約して獲物を待てます。


4. ヒラメとカレイの違いも進化の結果

釣り人が混同しやすいヒラメとカレイですが、進化適応の方向が微妙に異なります。

特徴 ヒラメ カレイ
目の位置 左向きに両目(左ヒラメ) 右向きに両目(右カレイが多数)
食性 肉食性(小魚を捕食) 雑食性(ゴカイ、甲殻類など)
体の厚み やや厚く筋肉質 より薄く柔らかい
走り方 ヒットすると真下+横へ突っ込む 海底を這うように逃げる

※例外として、地域によって目の向きが逆の種も存在します。


5. 「半分しかない」体は市場価値にも影響

・平たい体は刺身用の歩留まりが良いため、鮮魚市場ではヒラメの評価が高いです。

・一方、カレイは煮付けや唐揚げ向きで、加工のしやすさが価格を支えています。

・特に天然ヒラメは高級寿司ネタとして、1kgあたり3,000〜4,000円以上で取引されることも珍しくありません。


まとめ

ヒラメやカレイの体は「半分を忘れた」わけではなく、

海底生活に完全特化した進化の結果です。

幼魚期の普通の形から成魚の平たい体へと変態する過程は、

まさに「進化の縮図」ともいえるドラマを秘めています。

釣り人にとっても、この構造を理解することで狙うポイントや仕掛け選びがさらに楽しくなります。

ヒラメやカレイは体を半分失った魚ではなく、環境に最適化した完全体です。釣太郎

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