新鮮なアオリイカを刺身で味わう時、その歯ごたえと甘みは格別ですよね。
しかし、同じアオリイカでも、漁師やプロの料理人が「海水氷」で冷やすのには、ある科学的な理由があります。
この記事では、アオリイカの美味しさを最大限に引き出す「海水氷」の秘密を、
真水氷との違いを交えながら解説します。
1. 浸透圧ショックを防ぎ、細胞を守る!
アオリイカの身は、約3%の塩分濃度を持つ海水環境で生きています。
そのため、細胞内の水分や塩分濃度も海水に近いです。
ここで真水氷を使うと、どうなるでしょうか。
- 真水氷の場合:溶けた真水(塩分濃度0%)が、イカの細胞内(塩分濃度約3%)へ急激に浸透します。この「浸透圧ショック」によって細胞が破壊され、旨味成分であるアミノ酸やグルタミン酸が外部に流出してしまいます。
- 海水氷の場合:溶けた水も海水と同じ塩分濃度なので、イカの細胞との濃度差がほとんどありません。そのため、細胞が壊れることがなく、旨味成分をしっかりと閉じ込めることができます。
2. より低い温度で、素早く鮮度をロック!
海水は真水よりも凝固点が低く、約-1.8℃で凍ります。
- 真水氷:0℃でしか冷やせないため、冷却効率が限られます。
- 海水氷:イカをより低い温度(-1.8℃前後)で効率的に冷却できます。
アオリイカは、他の魚介類に比べて体温が上がりやすい特性を持っています。
海水氷を使うことで、捕獲直後の体温を素早く下げ、ATP(アデノシン三リン酸)の分解を遅らせることができます。
このATPはイカの旨味成分であるイノシン酸のもとになるため、これを保つことが美味しさの鍵となります。
3. 細菌の増殖を抑え、衛生的!
海水の塩分には、ある程度の殺菌効果が期待できます。
海水氷を使うことで、アオリイカの表面に付着する細菌の繁殖を抑制し、鮮度を保ちやすくなります。
これは、刺身など生で食べる場合に特に重要なポイントです。
また、海水氷は真水氷よりも溶けにくいため、氷が長持ちし、漁獲から消費者の手に渡るまでの間、
安定した低温状態を保つことができます。
まとめ:アオリイカの美味しさは「海水氷」で決まる
アオリイカを最高の状態で味わうためには、単に冷やすだけでなく、「何で冷やすか」が非常に重要です。


