南紀地方の波止でライトタックルを振っていると、キラキラと光る銀色の魚体がヒットする。
「よし、メッキだ!。」。
今晩のおかずは確保、と喜んだのも束の間、よく見ると体側にうっすらと黄色いラインが…。
そう、彼こそがアングラーを悩ませる存在、シマアジの幼魚です。
メッキ(ヒラアジ類の幼魚)と同じサイズ、同じような見た目をしているのに、
なぜシマアジの幼魚は驚くほど味が劣るのでしょうか。
今回はその謎を科学的な視点から解き明かしていきます。
結論:味を分ける最大の要因は「食性の違い」にある。
彼らが瓜二つなのは当然で、メッキもシマアジも同じ「アジ科」に属する親戚同士です。
しかし、その幼魚時代の食生活には天と地ほどの差があります。
メッキ(ヒラアジ類)の食性:生粋のフィッシュイーター。
ロウニンアジやギンガメアジに代表されるメッキたちは、非常に獰猛な肉食魚です。
生まれた時から他の小魚を積極的に追い回して捕食します。
- 主食: イワシなどの小魚、甲殻類。
- 味への影響: 魚を主食としているため、その身には旨味成分であるイノシン酸などが豊富に含まれます。クセがなく、しっかりとした白身魚の味わいが特徴です。塩焼きや唐揚げにすると絶品なのはこのためです。
彼らはまさに「海のギャング」。
その力強い引きは、この食性に裏付けられた筋肉質な体から生み出されているのです。
シマアジ(幼魚)の食性:プランクトンを食べる草食系?。
一方、高級魚として知られるシマアジですが、その幼魚はメッキとは全く異なるものを食べています。
- 主食: 動物プランクトン(カイアシ類など)、藻類。
- 味への影響: プランクトンや藻類を主食としているため、その身には独特の磯臭さや、人によっては苦味や薬品臭と感じるほどの風味を持つことがあります。捌くと胃の中から緑色の内容物が出てくることも多く、これが味の悪さの直接的な原因と考えられています。
同じアジ科でも、幼魚期は食性が大きく異なるため、これほどまでに味に差が出てしまうのです。
筋肉の質と脂の違い。
食性の違いは、筋肉の質や脂の乗り方にも影響します。
- メッキ: 常にベイトフィッシュを追い回しているため、瞬発力に優れた質の良い筋肉を持っています。身が締まっており、食感が良いのが特徴です。
- シマアジ(幼魚): 運動量がメッキに比べて少ないためか、身が少し水っぽく、旨味の元となる脂もほとんど乗っていません。
この差が、調理した際の味わいの差として明確に現れます。
【豆知識】シマアジは出世魚!。大きくなると食性が変わる。
では、なぜあのまずかったシマアジが、成長するとキロ数万円で取引されるほどの高級魚になるのでしょうか。
実はシマアジは成長するにつれて食性が変化する「出世魚」のような生態を持っています。
- 幼魚期: プランクトン、藻類。
- 成魚期: 小魚、イカ、甲殻類。
成魚になるとメッキと同じようにフィッシュイーターへと変化し、全身に上質な脂を蓄えるようになります。
これにより、幼魚の頃の磯臭さは完全に消え、上品な甘みと旨味を持つ極上の味わいへと変化するのです。
まとめ:見分けてリリースを。
- メッキとシマアジ幼魚の味の違いは、主に食性の違い(肉食 vs プランクトン食)によるもの。
- シマアジの幼魚が持つ独特の風味は、成長と共に食性が変わることで消える。
もしシマアジの幼魚(体側の黄色いラインが目印)が釣れた場合は、将来の美味しい高級魚へと
成長することを願い、優しくリリースしてあげるのが良いかもしれません。
これで、あなたの釣りライフの謎が一つ解けたのではないでしょうか。 南紀の豊かな海で、
美味しいメッキとの出会いを楽しんでください。


