アングラー(釣り人)にとって身近なターゲットであるアジやサバ。
彼らには、特定の漁港や根に定住する「居着き」と、広範囲を移動する「回遊」の群れがいることはよく知られています。
では、同じく人気のターゲットであるカマスはどうなのでしょうか。
「カマスは秋に突然現れて、いなくなるときはパタリと釣れなくなる」 そんな経験から、
多くの人が「カマス=回遊魚」というイメージを持っているかもしれません。
この記事では、その疑問にズバリお答えします。 カマスの生態を深く知ることで、
あなたのカマス釣りの戦略が一段と深まるはずです。
◆ 結論:カマスは基本的に「回遊魚」である
まず結論から言うと、カマスはアジやサバ以上に「回遊魚」としての性質が非常に強い魚です。
彼らが回遊する主な理由は、他の多くの回遊魚と同じく2つです。
- ベイト(エサ)を追いかけるため: カマスの主食はカタクチイワシなどの小魚です。 ベイトの群れが移動すれば、それを追ってカマスの群れも大移動します。
- 適水温を求めるため: カマスは温暖な水を好む魚です。 季節が進み、沿岸の水温が適さなくなると、より水温が安定している沖合や適水温のエリアへと移動していきます。
「居着き」と呼ばれるほど長期間、同じ場所に定住する個体群は、基本的には存在しないと考えてよいでしょう。
彼らが漁港やサーフから釣れるのは、この大回遊のルート上で、一時的に接岸しているタイミング
を狙っているからなのです。
◆ しかし、話は単純ではない!鍵を握る2種類のカマス
「なるほど、やっぱり回遊魚なんだな」 そう思ったあなた、実はカマスの世界はもう少しだけ奥が深いのです。
日本で釣れる主なカマスには、アカカマスとヤマトカマスの2種類がおり、この2種の生態の違いが
「居着きっぽさ」の謎を解く鍵となります。
① アカカマス(別名:本カマス)- “生粋の回遊魚”
- 特徴: やや赤みがかった体色で、脂が乗って非常に美味しい高級魚。 「本カマス」と呼ばれ、市場価値も高いです。
- 生態: 回遊性が非常に強いタイプ。 暖流に乗って沖合を広範囲に移動し、ベイトを追って一時的に沿岸へやってきます。 シーズンインが明確で、釣れ始めるとまとまって釣れ、群れが去るとパタリと釣れなくなる、という典型的な回遊魚のパターンを見せます。
② ヤマトカマス(別名:水カマス)- “沿岸性の強い回遊魚”
- 特徴: アカカマスに比べて青みがかっており、水分が多いため「水カマス」と呼ばれます。 味は淡白ですが、干物などで人気があります。
- 生態: アカカマスに比べて沿岸・内湾性が強いのが特徴です。 アカカマスほど大規模な沖合回遊はせず、比較的狭い範囲の沿岸域を回遊します。 そのため、湾内や港内など、特定のエリアに比較的長い期間とどまることがあります。
このヤマトカマスの性質が、アングラーに**「居着きのように感じる」**瞬間を与えてくれるのです。
ある港で数週間にわたってヤマトカマスが釣れ続く場合、それは彼らが湾内のベイトや水温が
快適で、しばらくの間そのエリアを回遊拠点にしている状態と言えるでしょう。
◆【一覧表】アカカマスとヤマトカマスの違い
あなたの釣ったカマスはどっち? 2種の違いを表にまとめました。
まとめ:カマスは回遊魚。でも種類によってクセがある!
それでは、今回の内容をまとめます。
- カマスは基本的に「回遊魚」: アジやサバのような明確な「居着き」タイプは存在しない。
- 回遊の理由は「エサ」と「水温」: ベイトの群れを追い、快適な水温を求めて移動する。
- 鍵は2種の違い: 回遊性の強いアカカマスと、沿岸に留まる傾向があるヤマトカマスがいる。
- 「居着きっぽい」のはヤマトカマス: 長期間同じ場所で釣れるのは、ヤマトカマスが湾内などを拠点にしている可能性が高い。
カマスが釣れた時、それがアカカマスなのか、ヤマトカマスなのかを見極めることで、
「この群れは一時的なものか」「しばらくは楽しめるかもしれない」
といった戦略を立てることができます。
ただルアーを投げるだけでなく、魚の生態に思いを馳せると、釣りはもっと面白くなります。
ぜひ次の釣行で、カマスの種類を見分けてみてください!


