釣りや水槽飼育をしていると、「海水魚の体液の塩分濃度はどれくらい?」という疑問を持つ人は多いでしょう。
実は、海水魚の血液や体液の塩分濃度は約1.0%前後。
一方で、海の水(海水)の塩分濃度は平均で約3.5% です。
この「外界3.5%」と「体内1.0%」という差は、単なる数字以上の意味を持っています。
今回は、その差が何を意味するのかを科学的に解説します。
海水の塩分濃度は約3.5%
世界の海の平均的な塩分濃度は 3.4〜3.5% とされています。
つまり、1リットルの海水に約35gの塩類(主に塩化ナトリウム)が溶けている計算です。
ただし、地域や季節によって微妙に変動します。
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河口や雨の多い地域:3.0%程度まで下がる
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蒸発の多い乾燥地域:4.0%を超えることも
それでも大きな海域ではほぼ3.5%前後で安定しています。
海水魚の血液・体液は約1.0%
海水魚の血液や体液の塩分濃度は 約1.0%前後 に維持されています。
これは人間の体液(0.9%程度)とほぼ同じです。
つまり、海水魚は「自分の体液よりも塩分が約3倍濃い環境」に生きていることになります。
この差が意味すること=浸透圧との戦い
体液と外界の塩分濃度に差があると、水や塩分は「浸透圧」に従って移動します。
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外の海水(3.5%)は濃い → 体内(1.0%)の水分が奪われやすい
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そのままでは脱水状態になってしまう
このため、海水魚は常に「水分を失わないための仕組み」を働かせています。
海水魚が生きるための工夫
海水魚は以下のような方法で体液濃度を維持しています。
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海水を大量に飲む → 水分を補給する
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えらの塩類細胞から塩分を積極的に排出 → 体内の塩分を調整する
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腎臓で尿の量を減らす → 水分のロスを最小限にする
このメカニズムのおかげで、外が3.5%の環境でも、体内を1.0%前後に保つことができるのです。
釣り人やアクアリストにとっての意味
この「海水と海水魚の塩分濃度差」を知っておくことは、実用面でも重要です。
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釣った魚を真水に入れると死んでしまう理由
→ 浸透圧ショックで体液バランスが崩れるから。 -
水槽で海水魚を飼うときに人工海水が必須な理由
→ 体液1.0%と外界3.5%の差を前提に調整しているため、正しい海水環境が必要。 -
海水氷が魚の鮮度維持に有効な理由
→ 真水氷では浸透圧ショックを起こすが、海水氷なら魚体に負担が少ない。
まとめ:1.0%と3.5%の差は「生命の前提条件」
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海水の平均塩分濃度は約3.5%
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海水魚の血液・体液は約1.0%で一定
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この差は「浸透圧による水分移動」の原因になる
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海水魚は特別な仕組みで体内の水分と塩分を調整している
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真水に弱いのも、海水環境が前提になっているから
つまり、この「3.5%と1.0%の差」こそが、海水魚の生理と進化の核心なのです。


