はじめに
紀南(和歌山南部)で釣り人や魚屋からよく聞くのが、
「日本海の真鯛は大きいけど身が水っぽくて美味しくない」という声です。
一方、紀南で獲れる真鯛はサイズはやや劣るものの、身が締まり、甘みがあると高評価。
なぜこのような地域ごとの評価差が生まれるのでしょうか。
環境の違いが味を決める
日本海の特徴
・冬は荒れやすく、夏は水温が高くなる。
・プランクトンが豊富で、真鯛が早く大きく成長する。
・水深が比較的浅く、海底は砂泥底が多い。
この環境ではエサが豊富なため、真鯛は大型化しやすい一方、脂がのりにくく「大味」になりやすいのです。
紀南(太平洋側)の特徴
・黒潮が流れ込み、透明度が高い。
・潮流が速く、真鯛が常に泳ぎ続ける必要がある。
・岩礁帯や複雑な地形が多く、甲殻類や小魚を捕食しやすい。
こうした環境では、真鯛の筋肉が発達し、身が締まりやすくなります。
さらに、エビやカニを食べることが多いため、甘みや旨味が強い個体が育ちます。
成長スピードと身質の関係
日本海の真鯛はエサが豊富で成長が早い傾向にあります。
急速に大きくなった魚は、身に繊維質が少なく「ふにゃっ」とした食感になりがち。
一方、紀南の真鯛は潮流に揉まれてゆっくり成長するため、身がしっかり締まり、歯ごたえのある食感になります。
季節による味の差
・日本海の真鯛は春から初夏にかけて産卵のため浅場に集まります。産卵期は体力を消耗し、身質が落ちやすい。
・紀南の真鯛は黒潮の恩恵で一年を通じてコンディションが安定しやすい。
つまり、「日本海の真鯛が不味い」と言われる背景には、環境・エサ・潮流・成長スピードといった複数の要素が絡んでいるのです。
まとめ
・日本海の真鯛:大きく育ちやすいが、身が柔らかく水っぽくなりやすい。
・紀南の真鯛:サイズは控えめでも、潮流に鍛えられ身が締まり、旨味が強い。
この違いを理解すれば、「どこの海で獲れた真鯛なのか」を意識して選ぶ楽しみも増します。
釣り人も食べる人も、海の環境が魚の味を左右していることを知っておくと、より奥深く真鯛を楽しめます。


