【海の香りの正体】懐かしい潮の匂いは海水じゃなかった!原因はDMSという化学物質だった。

海辺を散歩していると、ふと感じる独特な「海の香り」。

どこか懐かしく、心が安らぐような「潮の臭い」を感じたことはありませんか。

多くの人が、あの匂いは海水そのものから発せられていると思っているかもしれません。

しかし、実は違うのです。

この記事では、多くの人が知らない「海の香り」の意外な正体と、その匂いがどうやって

私たちの鼻まで届くのかを、科学的な視点から分かりやすく解説します。

◆海の香りの正体は「ジメチルスルフィド(DMS)」

結論から言うと、海の香りの主な正体は「ジメチルスルフィド(DMS)」という化学物質です。

DMSは、よく「磯の香り」や「海苔のような匂い」と表現される香りの元になっています。

では、このDMSは一体どこからやって来るのでしょうか。

それは、海の小さな生き物たちの生命活動が関係しています。

  1. 植物プランクトンの活動: 海には、目に見えないほど小さな植物プランクトンがたくさん生息しています。
  2. DMSPの生成: 植物プランクトンは、浸透圧の調整などのために「ジメチルスルフォニオプロピオネート(DMSP)」という物質を体内に作ります。
  3. バクテリアによる分解: 植物プランクトンが死んだり、動物プランクトンに食べられたりすると、体内のDMSPが放出されます。 それを海のバクテリアが分解する過程で、**ジメチルスルフィド(DMS)**が発生するのです。

つまり、**海の香りは、植物プランクトンが残した”置き土産”を、バクテリアが分解することで

生まれる「生命の匂い」**だったのです。

海水そのものが匂っているわけではありませんでした。

◆海の匂いは一つじゃない!その他の原因物質

海の香りを構成しているのは、DMSだけではありません。

状況によって、私たちは様々な化学物質が混ざり合った匂いを「海の香り」や「潮の臭い」として感じています。

  • ブロモフェノール類: 海藻やゴカイなどが作る物質です。 これも「磯の香り」と感じられますが、濃度が高いと少し薬品のような匂いがします。 私たちが普段「磯臭い」と感じる匂いの原因の一つです。
  • トリメチルアミン: 魚介類が腐敗する際に発生する、いわゆる「生臭さ」の原因物質です。 漁港の近くなどで感じる生臭い匂いは、この物質が関係していることが多いです。

これらの様々な化学物質が混ざり合うことで、場所や季節によって異なる、複雑で豊かな「海の香り」が作り出されているのです。

◆「海が匂う」のではなく「風が運んでくる」

では、海で生まれた匂いの元は、どうやって私たちの元へ届くのでしょうか。

答えはシンプルで、「風」が運んできます。

海面で発生したDMSなどの化学物質は、非常に揮発性が高く、空気中にどんどん放出されます。

それが海から吹く風に乗って、私たちのいる陸地まで運ばれてくるのです。

だから、海から少し離れた場所にいても、風向きによっては「海の香り」を感じることがあるのです。

それは、「海が匂っている」のではなく、**「海で生まれた匂いの粒子が、風に乗って鼻まで届いている」**ということなのです。

◆まとめ:海の香りは生命の営みが織りなす香り

今回の内容をまとめます。

  • 海の香りの主な正体は、海水ではなく「ジメチルスルフィド(DMS)」という化学物質。
  • DMSは、植物プランクトンとバクテリアの生命活動によって生み出される。
  • その他にも「ブロモフェノール類」など、複数の物質が海の香りを構成している。
  • 海で発生した匂いの元が、風によって運ばれることで私たちは香りを感じる。

普段何気なく感じている「海の香り」。

その背景には、目に見えない小さな生き物たちの壮大な生命の営みがありました。

次に海を訪れた際には、この小さな生命たちが作り出す香りに、少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

海の香りの主な正体は、海水ではなく「ジメチルスルフィド(DMS)」という化学物質。DMSは、植物プランクトンとバクテリアの生命活動によって生み出される。釣太郎

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