釣りの楽しみは「魚が釣れた瞬間」にあります。
しかし、実際に口に運んだときに「美味しい!」と感動できるかどうかは、釣果よりも その後の処理 によって大きく変わるのです。
プロの料理人や漁師が口を揃えて言うのが、
「魚の美味しさは、釣った瞬間ではなく釣った後の扱いで決まる」 ということ。
この記事では、釣り人がすぐに実践できる「処理の流れ」と、科学的根拠に基づく
「美味しさを2割以上アップさせる秘訣」を徹底的に解説します。
1. 魚の美味しさを左右する要素は「釣果35%・処理65%」
多くの人が「大きな魚を釣れば美味しい」と考えがちですが、実際にはそう単純ではありません。
釣った魚の味を左右する要素を分解すると、以下のようになります。
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釣り上げた瞬間の状態(魚のサイズ・体力・環境など):35%
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釣った後の処理(締め方・血抜き・冷却方法):65%
つまり、美味しさの大半は その後の扱い方次第 なのです。
同じ魚でも「処理が悪いとスーパー以下」「処理が良いと高級料亭レベル」になるのが釣り魚の特徴です。
2. 美味しさを守る第一歩「即締めでATPを残す」
● ATPとは何か?
ATP(アデノシン三リン酸)は、魚が生きている間にエネルギー源として使う物質です。
釣り上げられた魚は暴れることでATPを大量消費し、やがて疲労物質に変わります。
ATPが多く残っていれば、死後に イノシン酸(旨味成分) へ変化し、熟成によって味が深まります。
● 締めずに放置した魚の末路
締めない魚は暴れ続け、ATPを消耗。
その結果、熟成させても旨味が出にくく、水っぽい味になってしまいます。
● 即締めの方法
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神経締め:脳と脊髄を破壊し、暴れさせない
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血抜き締め:エラや尾を切り、素早く血を抜く
初心者でも「エラ切り血抜き」はすぐにできるので、まずはここから始めましょう。
3. 臭みを消す秘訣「海水で血抜きする」
● なぜ血抜きが必要か?
魚の血液は酸化しやすく、時間が経つと「生臭さ」の原因になります。
特に青物や根魚は血の臭みが強く出やすいので注意が必要です。
● 真水ではNGな理由
真水で血抜きを行うと、浸透圧の関係で魚の細胞に水が入り込み、身がふやけます。
これにより旨味成分が逃げてしまい、食感も悪くなるのです。
● 海水で血抜きするメリット
魚の体液は塩分濃度約0.9%。
一方、海水の塩分濃度は約3.5%。
この差はありますが、真水に比べれば細胞への負担は圧倒的に少なく、身が締まって臭みが抜けやすいのです。
● 実践方法
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バケツに海水を汲む
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エラや尾を切る
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海水の中で泳がせるようにして血を排出
これだけで臭みが取れ、透明感のある味に仕上がります。
4. 鮮度を決める最大のポイント「海水氷で急冷」
● 真水氷の落とし穴
多くの釣り人がクーラーボックスに「真水で作った氷」を入れています。
しかし、これでは魚の身がふやけ、ドリップが出やすくなるのです。
さらに、氷が解けて真水になると浸透圧の差で旨味が流れ出し、せっかくの釣果が台無しになります。
● 海水氷のメリット
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魚の体液と近い塩分濃度で身が締まる
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氷点が低いため、真水氷よりも冷却スピードが速い
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雑菌の繁殖を抑え、鮮度を長時間キープ
つまり、海水氷は「魚専用の冷却剤」といえるのです。
● 実際の使い方
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クーラーボックスに氷と海水を混ぜて「海水氷スラリー」を作る
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血抜きが終わった魚をすぐに投入する
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氷水が全体を包み込み、数分で魚体がしっかり冷える
この処理を徹底するだけで、魚の味は 2割以上アップ すると言われています。
5. 具体的な魚種別の効果
● 青物(ブリ・ハマチ・シオなど)
血が多いため、処理が遅れると臭みが強烈になります。
即締め+海水血抜き+海水氷で処理すると、刺身でも全く臭みが出ません。
● 白身魚(チヌ・グレ・マダイなど)
身がデリケートなので真水に弱いです。
海水氷を使うことで弾力を保ち、刺身の透明感が長続きします。
● イカ・タコ類
真水氷に入れると皮が剥けたり、白濁して味が落ちます。
海水氷なら透明感をキープし、ねっとりした甘さが引き立ちます。
6. プロが実践する「処理の流れ」完全マニュアル
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釣り上げた瞬間に締める(神経締めまたはエラ切り)
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海水でしっかり血抜きする
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クーラーボックスの海水氷スラリーで急冷
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帰宅後すぐに内臓を処理
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食べるまで冷蔵保存(2日程度熟成させると旨味アップ)
この流れを徹底するだけで、スーパーの魚よりも美味しくなります。
7. まとめ:釣り人の意識で「魚は高級料亭の味」に変わる
・即締めでATPを守る
・海水で血抜きする
・海水氷で急冷する
この3ステップを徹底するだけで、魚は 2割以上美味しくなる のです。
釣り方で差がつくのは3割程度。
しかし、処理で差がつくのは7割。
つまり、釣り人の意識次第で「同じ魚が別物の味」になるのです。
次の釣行では、ぜひこの処理方法を実践してみてください。
きっと「今まで食べていた魚は何だったのか」と驚くはずです。


