イカ墨料理といえば、スペインの「イカ墨パエリア」やイタリアの「イカ墨パスタ」が有名です。
真っ黒な見た目と独特の旨味で、日本でも人気を集めていますが、なぜ地中海沿岸でイカ墨料理が発達したのでしょうか?
この記事では、
・地中海でのイカ漁の歴史
・どんなイカが捕れていたのか
・イカ墨が料理に使われた理由
を詳しく解説していきます。
地中海はイカの豊かな漁場だった
地中海は古代から魚介類が豊富な海域として知られています。
その中でもイカは重要な食材で、特に以下の種類がよく獲れました。
・モンゴウイカ(コウイカ類)
・ヤリイカ類
・小型のイカ(カラマリ)
日本人に馴染みのあるアオリイカは地中海にはほとんど分布していませんが、モンゴウイカは非常に多く、漁業でも主要なターゲットでした。
古代から食べられていたイカ
地中海沿岸の人々は、古代ギリシャ・ローマの時代からイカやタコを食べていました。
文献や壁画にもイカ漁の様子が残されており、
・庶民の魚介料理
・貴族の食卓のご馳走
両方でイカは活用されていたことが分かっています。
イカは塩漬けや干物として保存され、また煮込み料理や揚げ物としても重宝されていました。
イカ墨が料理に使われた理由
イカ墨料理が地中海沿岸で生まれたのには、明確な理由があります。
① モンゴウイカは墨が多い
モンゴウイカは他のイカに比べて墨袋が大きく、濃厚な墨を大量に持っています。
これが「料理に使える調味料」として注目されました。
② 食材を無駄にしない文化
地中海の人々は魚の骨や内臓まで活用する文化を持っています。
イカ墨も「旨味を加える素材」として自然に取り入れられたのです。
③ 料理との相性
イカ墨は独特の香ばしさと旨味を持ち、海鮮や米、パスタと非常に相性が良い食材でした。
その結果、スペインやイタリアの名物料理へと発展していきました。
有名なイカ墨料理とその発祥
スペイン「アロス・ネグロ(イカ墨パエリア)」
スペインのバレンシア地方やカタルーニャ地方で発祥。
魚介の出汁にイカ墨を加えて炊き上げる「黒いご飯」で、独特の風味とコクが特徴です。
イタリア「スパゲッティ・アル・ネーロ・ディ・セッピア」
イタリア南部やシチリア島で人気。
オリーブオイル・ニンニク・白ワインとともにモンゴウイカの墨を使い、濃厚なパスタソースに仕上げます。
日本との違い
日本でもイカは広く食べられますが、イカ墨料理はあまり一般的ではありません。
その理由は、
・日本でよく獲れるアオリイカは墨が少なく、料理向きではない
・和食文化では黒い色が「見た目に馴染みにくい」
といった背景があります。
その一方で、ヨーロッパでは「黒さ」が高級感や個性として評価され、広く受け入れられました。
まとめ
・地中海は古代からイカの豊かな漁場で、特にモンゴウイカが多く獲れた
・イカは古代ローマ時代から庶民・貴族ともに食べられていた
・モンゴウイカの大量の墨を活用することで、パエリアやパスタといった料理に発展した
・日本と違い、黒い色合いが地中海では「特別なご馳走」として受け入れられた
イカ墨料理は、地中海の自然環境と食文化が生んだ「必然のご馳走」だったのです。


