釣り人や魚好きの間でよく話題になるのが「魚の名前」の問題です。
同じ魚でも地域によって呼び名が違ったり、図鑑に載っている名前と漁師が使う名前が違ったりすることがあります。
「正式名称」「標準和名」「学名」、そして「地方名」は同じものなのか、それとも違うのか。
この記事では、それぞれの意味と決められた経緯をわかりやすく解説します。
① 正式名称とは?
一般的に「正式名称」という言葉は、日常生活や行政上で使われる もっとも正しい名前 というニュアンスで使われます。
ただし、魚の場合「正式名称」という表現は少し曖昧です。
・行政機関や漁協が使う名称 → 商品流通上の「市場名」
・研究者が使う名称 → 図鑑や論文に記載される「標準和名」
・国際的に通じる名称 → ラテン語で書かれる「学名」
つまり、魚における「正式名称」という言葉は立場によって異なります。
② 標準和名とは?
魚の世界で 最も公式に近い日本語の名前 が「標準和名」です。
・標準和名は日本魚類学会が定めています。
・1930年代以降、研究の進展に伴い学会内で統一が進められました。
・現在も魚類学者の間で使用される、日本国内での「公式な名前」と言えます。
例えば、関西で「ガシラ」と呼ばれる魚の標準和名は「カサゴ」。
釣り人がよく使う呼び名とは異なりますが、研究論文や図鑑では必ず標準和名が使われます。
③ 学名とは?
世界共通で魚を識別するための名前が 学名(ラテン語表記) です。
・カール・リンネによって体系化された二名法(二つ名)が基本。
・属名 + 種小名 の2つで1つの生物を表す。
・世界中の研究者が混乱なく扱えるように統一されている。
例:カサゴ(標準和名) → Sebastiscus marmoratus(学名)
学名は世界共通ですが、一般の釣り人や消費者にはなじみが薄いため、日常的にはあまり使われません。
④ 地方名(ローカルネーム)とは?
日本は南北に長く、海に囲まれているため、同じ魚でも地域ごとに違う呼び名があります。
これが 地方名(ローカルネーム) です。
・カサゴ → 関西では「ガシラ」、九州では「アラカブ」
・ブリ → 出世魚として成長段階ごとに名前が変わる(ワカシ → ハマチ → メジロ → ブリ)
・マアジ → 大分では「ゼンゴ」など
地方名は漁師や市場、釣り人の間で根強く使われており、標準和名とは異なる呼び方が現在も受け継がれています。
⑤ 標準和名は誰がいつ決めたのか?
標準和名の統一は、日本魚類学会(旧・日本動物学会魚類部会)によって進められました。
・明治時代までは魚名はバラバラで、地方名が主流。
・1930年代に研究者の間で「標準和名を統一しよう」という動きが本格化。
・戦後は「魚類学雑誌」「日本産魚類検索」などで標準和名が整理され、現在に至ります。
つまり、「誰が決めたか?」という問いに対しては、
学者たちが議論を重ね、日本魚類学会を中心に統一してきた というのが答えになります。
⑥ 釣り人や一般人にとっての使い分け
実際の釣りや市場では、どの呼び名を使えばいいのでしょうか?
・釣り仲間との会話 → 地方名でOK(例:「今日はガシラが釣れた」)
・料理店や市場 → 市場名・商品名が使われることが多い
・研究・記事・ブログ → 標準和名と学名を明記するのがベスト
たとえば釣りブログでは、
「ガシラ(標準和名:カサゴ、学名:Sebastiscus marmoratus)」
と表記すると、検索にも強く、読者にも親切です。
まとめ:魚の名前は立場によって変わる
・正式名称という言葉は曖昧だが、研究上の公式名は「標準和名」
・世界的に通じるのは「学名」
・釣り人や漁師の間では「地方名」が今も根強く残っている
・標準和名は日本魚類学会が1930年代以降に整理・統一してきた
魚の名前は一見ややこしいですが、立場ごとに整理するとスッキリ理解できます。


