イカといえば柔らかい体のイメージですが、実は体内に**「甲羅(内骨格)」**を持っています。
しかし、この甲羅の形や硬さは、種類によって大きく異なります。
特にアオリイカとモンゴウイカでは構造が全く違い、釣ったときや調理の際にその差を実感する人も多いはずです。
この記事では、その違いと理由を生物学的・生態的な視点から詳しく解説します。
① 甲羅の正式名称は「内骨格」
まず、イカの甲羅は外側に見えるものではなく、体内に存在する支持構造です。
軟体動物の中でも「十腕形類(デカポッド)」に分類されるイカは、進化の過程で貝殻を体内に取り込み、軽量化しました。
この内骨格は種類によって性質が異なり、
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アオリイカ → 「ペン」と呼ばれる薄く半透明の板状
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モンゴウイカ → 「カラストンビ」とも呼ばれる厚く石灰質の甲羅(カトルボーン)
という構造の差があります。
② アオリイカの甲羅(ペン)の特徴
アオリイカの甲羅は、長く薄い半透明の樹脂のような形状で、軽く柔軟性があります。
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板状で先端が細く、まるで羽ペンのような形状
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主成分はキチン質(甲殻類や昆虫の外骨格と同じ)
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非常に軽く、浮力にほぼ影響しない
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柔軟な体の動きに適しており、高速遊泳や急停止に有利
つまり、アオリイカは「機動性重視」の設計です。
この軽量なペンが、瞬間的な加速と方向転換を可能にしています。
③ モンゴウイカの甲羅(カトルボーン)の特徴
モンゴウイカの甲羅は、厚く白い石灰質の構造を持ち、触ると硬くて軽い浮きのような感触があります。
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厚みがあり内部は細かい空洞構造
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主成分は炭酸カルシウム(貝殻と同じ)
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浮力をコントロールする役割を持つ
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生息水深や行動範囲を安定させる効果がある
この甲羅は、釣った後に乾燥させてインコなどの小鳥のカルシウム補給用としても利用されるほどです。
④ なぜ全く異なる構造になったのか?
この違いは、生態と生活環境の差による進化の結果です。
アオリイカの場合
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岩礁・藻場・砂地など浅場を回遊
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瞬間的なダッシュや複雑な方向転換で小魚を捕食
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機動性を高めるため、甲羅は軽量化し、浮力調整機能をほぼ放棄
モンゴウイカの場合
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砂地や泥底にじっと潜んで待ち伏せ
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長時間同じ水深に滞在するため、浮力調整が重要
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厚い石灰質の甲羅が浮力を微調整し、体を安定させる役割
つまり、
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アオリイカ →「アスリート型」(スピード・機動性重視)
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モンゴウイカ →「安定型」(浮力調整・省エネ重視)
という設計思想の違いが、甲羅の構造に現れているのです。
⑤ 釣り人・料理人にとっての実用的な違い
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アオリイカのペンは薄く捨てやすいが、処理時に裂けやすい
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モンゴウイカの甲羅は硬く大きく、取り出しやすいがゴミとしてかさばる
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モンゴウイカの甲羅は乾燥させて再利用できる(小鳥の餌、クラフト材料)
釣った後の下処理で感じるこの差は、生態の違いに直結しています。
まとめ
アオリイカとモンゴウイカの甲羅は、同じ「イカ」という分類でも全く異なる構造を持っています。
これは、生活環境・捕食スタイル・移動パターンの違いによる進化の結果です。
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アオリイカ → 軽量なペン状、機動力優先
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モンゴウイカ → 厚い石灰質、浮力安定重視
釣り人なら、この違いを知っておくことでターゲットの行動パターンをより深く理解でき、釣果アップにもつながります。


