魚の価値は、場所が変われば大きく変わります。
日本では「雑魚」として扱われることもあるヒメジが、海の向こうフランスでは「ルージェ」と呼ばれ、ミシュラン星付きレストランでも提供される高級魚として愛されていることをご存知でしょうか?
今回は、ヒメジが日本とフランスでなぜこれほどまでに扱いが違うのか、その驚きの秘密と価値の全容に迫ります。
この記事を読めば、あなたの魚の見方がきっと変わるはずです。
ヒメジとは?その特徴と日本での立ち位置
ヒメジは、スズキ目ヒメジ科に属する魚で、日本では主に太平洋沿岸や日本海に生息しています。 鮮やかな赤色と、長い2本のひげ(口ひげ)が特徴的です。
このひげを使って海底の砂の中の甲殻類や小魚を探し、捕食します。
日本では、比較的漁獲量が多く、一般的には大衆魚として流通しています。
地域によっては「雑魚」として一括りにされることもあり、専門的に扱われることは少ないのが現状です。
フランスの食文化が育んだ「高級魚」としてのヒメジ
一方、フランスではヒメジは「ルージェ・ド・ロッシュ」(rouget de roche)と呼ばれ、非常に価値の高い魚として扱われています。
「ルージェ」は「赤」を、「ロッシュ」は「岩」を意味し、岩礁地帯に生息する赤い魚、つまりヒメジを指します。
では、なぜフランスでは高級魚なのでしょうか?
1. 豊かな香りを楽しむ「食の文化」
フランス料理では、素材が持つ香りや風味を最大限に引き出すことが重要視されます。
ヒメジの最大の特徴は、その肝(レバー)と内臓にあります。
ヒメジの肝は、濃厚で独特の風味があり、フォアグラにも喩えられるほどです。
フランスのシェフたちは、この肝をソースのベースにしたり、魚と共に調理することで、ヒメジが持つ芳醇な香りを料理全体に広げます。
この「香りを楽しむ」という食文化が、ヒメジの価値を高めているのです。
2. 繊細な身質を活かす「調理技術」
ヒメジの身は、白身魚でありながら、水分が少なく、しっかりとした旨味があります。
また、加熱しても身が崩れにくく、ムニエルやポワレ、アクアパッツァなど、様々な調理法に適しています。
特に、皮目をパリッと焼き上げるムニエルやポワレは、皮と身の間の旨味を存分に味わえる調理法として人気です。
フランスのシェフたちの高度な調理技術が、ヒメジのポテンシャルを最大限に引き出しています。
3. 歴史と伝統に根ざした「魚介類の評価」
フランス、特に地中海沿岸地域では、古くから魚介類が食卓の中心にありました。
ヒメジは、この地域で獲れる代表的な魚の一つであり、その美味しさは古くから高く評価されてきました。
日本の魚介類が海外で高く評価されるようになるのと同様に、ヒメジもまた、その土地の食文化や歴史の中で独自の地位を確立してきたのです。
日本でもヒメジを美味しく食べるには?
近年、日本でもヒメジの美味しさに注目が集まり、高級食材として扱う料理店も増えてきました。
もしヒメジを見かけたら、ぜひ挑戦してみてください。
- 塩焼き: シンプルに塩を振って焼くだけで、ヒメジ本来の旨味と香ばしさを楽しめます。
- 唐揚げ: 骨ごと揚げて、パリパリの食感と香ばしさを楽しむのもおすすめです。
- アクアパッツァ: ヒメジを丸ごと使い、トマトやニンニク、オリーブオイルと煮込むと、魚介の旨味が溶け出した絶品の一品になります。
まとめ
日本で「雑魚」扱いされることもあるヒメジが、フランスで高級魚として愛されるのは、
「香りを楽しむ」という食文化、繊細な身質を活かす調理技術、そして歴史に根ざした魚介類の評価
という、文化的な背景の違いによるものです。
価値は絶対的なものではなく、その土地の文化や食習慣によって大きく変わります。
次にスーパーや魚屋でヒメジを見かけた際は、「フランスの高級魚」として、その隠れたポテンシャルを味わってみてはいかがでしょうか?
きっと、新しい発見があるはずです。


