夏の食卓に並ぶイカといえば、「アオリイカ」が定番。
高級寿司ネタとしても知られ、その美しい白身とねっとりとした甘さから“イカの王様”と称されます。
しかし――味の真の王者は、アオリイカではなく「ケンサキイカ(アカイカ)」なのをご存じでしょうか?
事実、ケンサキイカはアオリイカを3割上回るうま味成分を持つとも言われており、漁師や寿司職人、釣り人の間では圧倒的な支持を誇ります。
にもかかわらず、なぜケンサキイカの知名度は低いままなのか?
今回はその謎と、ケンサキイカの本当の魅力を深掘りしていきます。
ケンサキイカ(アカイカ)とは?
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標準和名:ケンサキイカ
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別名・地方名:アカイカ、マルイカ、マイカ、メトイカ、シロイカ(地域により混同)
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旬:6月〜8月(夏が最盛期)
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漁獲地:山陰、九州、四国、和歌山、日本海沿岸など
外見は細長く、やや赤みがかった体色。
「スラリとした剣先(けんさき)のような形状」が名前の由来です。
アオリイカより旨い!? 科学が証明する“うま味の差”
ケンサキイカの魅力は、何といってもうま味の強さと濃厚な甘み。
主要なうま味成分であるアミノ酸の含有量を比較してみましょう。
| 成分(甘味系アミノ酸) | アオリイカ | ケンサキイカ(アカイカ) | 差異 |
|---|---|---|---|
| グリシン | 中程度 | 高濃度 | 約1.3倍 |
| アラニン | 多い | 非常に多い | 約1.4倍 |
| グルタミン酸 | 普通 | 多い | 約1.2倍 |
特に甘味を引き立てるグリシンやアラニンの含有量がアオリイカを凌駕しており、
刺身で食べた瞬間に広がる上品な甘みと深みのある味わいは、他のイカでは味わえません。
にもかかわらず…なぜ知名度が低いのか?
1.「アカイカ」「シロイカ」などの名称の混乱
地方によって名称が異なり、「アカイカ」と呼ぶ地域もあれば「マイカ」「シロイカ」と呼ばれる場合もあります。
この名前のバラバラさが、全国的なブランド化の障壁となっているのです。
「アカイカ=安物の冷凍イカ」だと勘違いされることもありますが、これは全くの誤認。
本来のケンサキイカは、むしろアオリイカ以上の高級魚です。
2.夏限定の“短い旬”
ケンサキイカの旬は6月〜8月と非常に短く、スーパーや飲食店に並ぶ期間も限られています。
そのため、「年中目にするアオリイカ」のような安定した露出が少なく、印象が薄いままになりがちです。
3.メディアに取り上げられない
料理番組やグルメ雑誌でも「アオリイカ」ばかりが注目される傾向があります。
ケンサキイカは通好みで地味な存在とされ、テレビなどの影響を受けにくい。
つまり、旨いけど地味、派手さがない、流通量も少ないという三重苦で、知名度がなかなか上がらないのです。
魚通・釣り人・寿司職人が絶賛する理由
「アオリイカは見た目の王様。味の王様はケンサキイカ。」
――地方の寿司職人
「釣ってすぐのケンサキイカを刺身で食べたら、もう戻れません。」
――イカメタル愛好家
「漁師のまかないで出るのは、アオリじゃなくてアカイカ。」
――地元漁港関係者
このように、本物を知る人ほどケンサキイカを選ぶ傾向にあるのです。
知名度は低くても、実力は圧倒的。
ケンサキイカのおすすめの食べ方
◎ 刺身
最もおすすめ。
厚切りで噛んだときの甘さ、旨味の広がりはアオリイカを上回ります。
◎ 沖漬け
生きたまま醤油ベースのタレに漬け込む“漁師料理”。
イカの甘みとタレの旨味が絡んだ究極の一品。
◎ 一夜干し
水分が飛ぶことでうま味が凝縮。
焼くと香ばしく、酒の肴に最適。
夏が旬!ケンサキイカは“今”しか味わえない贅沢
アオリイカは通年漁獲がありますが、
ケンサキイカ(アカイカ)は夏にしか手に入りません。
夏場に釣れるイカとしてはトップクラスの人気を誇り、
特に和歌山・山陰・九州では「夏イカ=アカイカ」として釣り人にも大人気。
この時期を逃すと新鮮な生食用は手に入らないので、まさに“今しか味わえない贅沢”です。
まとめ:ケンサキイカは「隠れた王様」
| 比較項目 | アオリイカ | ケンサキイカ(アカイカ) |
|---|---|---|
| うま味成分 | ◯ | ◎(約3割多い) |
| 見た目の高級感 | ◎ | ◯ |
| 知名度 | 高い | 低い |
| 旬 | 通年 | 夏限定 |
| 価格 | 高価 | 地域によってはお手頃 |
| 通の評価 | 高い | 非常に高い |
アオリイカばかりに注目が集まりがちですが、実際に食べ比べてみると「アカイカのほうが美味しい」と感じる人は少なくありません。
あなたもぜひ、この夏だけの特別な味覚を一度体験してみてください。


