● 理由①：幻の超大物という「ロマン」
・クエは最大1mを超える超大物
・釣れる確率は極めて低く「磯釣りの最終目標」とも呼ばれる
・その希少性が、釣り人の“挑戦心”をかき立てる
「釣れない」とわかっていても、「もしかして今日だけは……」という期待が、夜釣りや離島遠征へと駆り立てます。
● 理由②：食味の頂点に君臨する魚
・クエは「幻の高級魚」とされ、市場でも超高値
・脂のりと旨味、コラーゲン質が段違い
・特に冬場は「魚の王様」と称される
釣っても釣らなくても、「一度は自分の手で釣って、食べてみたい」という欲求が原動力になります。
● 理由③：釣れないことに意味がある
・「釣れる魚」ではなく「釣れない魚」を追う
・その過程に価値を感じる釣り人も多い
・仕掛け、タックル、エサ、場所、潮…すべてが噛み合ってようやく一匹
まるで修行のような世界観すらあり、「クエを釣る者は、クエに釣られている」と言われるほどです。
● 理由④：情報・道具の進化で「釣れる気がする」
・近年はクエ専用のタックルや餌（冷凍イカ、アカハタの切り身など）も豊富
・水中カメラや魚探も個人で使える時代
・ネットで釣果情報や潮見表も簡単に取得可能
「昔より釣れる確率は上がっているはず！」という思いも、チャレンジを後押しします。
● 理由⑤：SNS映え・自慢の象徴
・釣れたらSNSで話題必至
・数年に1本釣れるかどうかの魚を自分が釣ったという優越感
・釣具店やメーカーの注目も集まる
釣果写真1枚で、他の釣り人から「神」とあがめられる存在になれることも。
● 結論：「クエは夢を釣る魚」
クエ釣りは「非効率」「無謀」「無駄」とも言えますが、そこにこそ釣りの本質があります。
釣れないからこそ、釣りたい。
その想いを持つ者だけが、いつか一匹の奇跡に辿り着けるのです。
● なぜ人間は“ロマン”を求めるのか？
● 理由①：目的よりも「過程」に価値を感じる生き物だから
・人間は「効率」だけで生きることに満足できない存在です。
・結果が得られなくても、努力や挑戦の“過程”に価値を見出します。
クエが釣れなかったとしても、夜の磯でじっと潮の音を聞きながら過ごす数時間は、
仕事や日常とは別次元の「自己との対話の時間」。
その時間自体が、すでに報酬になっているのです。
● 理由②：「手が届かないもの」に惹かれる本能
・人間は「簡単に手に入るもの」より「希少なもの」に魅力を感じます。
・これは生物学的に、“価値のあるものを追う”ための本能と言われます。
つまりクエは、「手が届かないが、決して不可能ではない」絶妙な存在。
釣り人の中の“探究心”や“狩猟本能”をくすぐる対象です。
● 理由③：自己証明と承認欲求の象徴としてのロマン
・人間は誰しも「自分を認められたい」という承認欲求を持っています。
・その欲求が形を変えて、「大きな目標に挑む」ロマンになるのです。
クエを釣った話は、たとえ10年に1回でも、一生語れる武勇伝になります。
それがその人の「人生の誇り」となり、釣り仲間からも一目置かれるきっかけになります。
● 理由④：「意味のないこと」に意味を見出せるのが人間だから
・機械は目的がないと動かないが、人間は「意味のない行動」にすら価値を感じられます。
・「無駄を愛する力」が、人間の豊かさの源です。
クエ釣りに限らず、登山、天体観測、芸術、旅も似ています。
到達点よりも、「意味のなさの中にある“意味”」を見つけようとする営みこそ、人間のロマン。
● 理由⑤：ロマンは“希望”の別名だから
・未来は不確かで、人生は思い通りにならない。
・そんな中でも、「いつかクエが釣れるかもしれない」と信じること。
・それは“希望”そのものです。
釣果がなくても、
道具を準備し、潮を読み、磯へ渡る――
それは「今日も夢を見ようとする」行為であり、生きる力でもあるのです。
● まとめ：人はロマンを求めるからこそ人間である
クエ釣りに限らず、ロマンとは「効率の外側」にあるものです。
だからこそ美しく、だからこそ尊く、
だからこそ、みんなが夢中になるのです。
そして釣り人たちは今日もまた、
“ほとんど釣れない”ことがわかっていながら、
夜の磯に立ち、静かにその一匹のロマンを待ち続けているのです。
