幼魚期は海で過ごす?驚きの生態と回遊の謎を解説
川で釣れる魚といえば「ウナギ」。
夜釣りでの人気ターゲットとして知られ、夏になると多くの釣り人が川岸に集まります。
しかし、「ウナギは川にいるはずなのに、なぜ海で生まれるの?」「幼魚はどこで育つの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、ウナギの一生とその神秘的な回遊行動について、釣り人や魚好き、教育関係者に向けて詳しく解説します。
ウナギは“海で生まれ、川で育ち、また海に帰る”魚
ウナギは**「両側回遊魚(Catadromous fish)」**と呼ばれる特殊な魚です。
これは、海で生まれて淡水域(川や湖)で成長し、再び海に戻って産卵するという生態を持つ魚のこと。
ウナギの仲間には世界中に複数種いますが、**日本で釣れるのは主に「ニホンウナギ(Anguilla japonica)」**です。
ニホンウナギの一生を追う
① 海で産卵(マリアナ諸島近海)
ニホンウナギは、**フィリピン東方のマリアナ諸島南西海域(西マリアナ海嶺付近)**という遠い海域で産卵します。
水深200〜300mの深海で、夜間に数万~数十万個の卵を産むと考えられています。
この事実が確認されたのはごく最近(2009年以降)で、長年「ウナギはどこで生まれるのか」は謎とされてきました。
② レプトセファルス期(透明な葉っぱのような幼生)
孵化したウナギは、「レプトセファルス」と呼ばれる透明で平たい幼生になります。
この形態は普通の魚とはまったく異なり、まるで小さな柳の葉のような姿。
この状態のまま、黒潮の流れに乗って日本列島方面へと長旅を始めます。
所要期間はおよそ半年から1年。
③ シラスウナギ期(河口で見られる稚魚)
日本の河口付近に到達すると、「シラスウナギ(白いウナギの稚魚)」へと変態します。
これが釣具店や料理店で「ウナギの稚魚」「天然稚魚」と呼ばれるものです。
体長は5〜6cmほどで、一部は川へ遡上(そじょう)し、一部は海や汽水域に残留します。
④ 成長期(川・湖・汽水域で数年)
川に遡上したウナギは、「黄ウナギ」と呼ばれる姿で生活します。
昼間は岩の下や泥の中に潜み、夜になると活動的にエサを探します。
この時期は3~10年程度、地域や環境によって成長スピードに差があります。
この段階で釣り人が狙うのが「天然ウナギ」です。
⑤ 銀ウナギ化(再び海へ)
成熟期を迎えると、ウナギは「銀ウナギ」と呼ばれる形態に変化します。
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体色が銀色に
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皮膚が厚くなる
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胃の機能が退化(海へ向けて絶食状態へ)
この変化は「産卵の準備」であり、川から海へ向かうサインでもあります。
その後、産卵場であるマリアナ海域へと数千キロの旅を再び始めるのです。
なぜ川にいる魚が“海で生まれる”のか?
これは進化の歴史に起因します。
元々ウナギの祖先は「海水魚」でした。
その後、淡水域にも生活の場を広げていったため、生まれは海、成長は川というライフサイクルを確立しました。
このような生活史を持つ魚は、ニホンウナギ以外にも
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ウグイ
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サケ(※海から川に戻るので逆の「降河回遊魚」)
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アユ(半回遊型)
などが挙げられます。
ウナギの生態から学べること
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ウナギは単なる川魚ではない
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長距離回遊能力に優れた「海と川の境界を超える魚」
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幼魚期(シラスウナギ)は海で育ち始める
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捕獲・養殖のタイミングはシラスウナギ期が中心
その神秘的な一生は、今も多くの研究者が追い続けており、完全な繁殖サイクルの解明は世界的課題です。
釣り人向けの補足情報
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釣れるウナギ=川や汽水域にいる黄ウナギがほとんど
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産卵行動を行う「銀ウナギ」は基本的に釣れない(深夜に海へ移動しているため)
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天然ウナギは減少傾向にあるため、リリースや適切な資源管理も重要
まとめ:ウナギは“海と川をつなぐ奇跡の魚”
一見すると「川の魚」と思われがちなウナギですが、
実は海で生まれ、川で育ち、また海へ帰るという壮大な一生を送っています。
この神秘的なサイクルを知ることで、釣りや食文化がより深く楽しめるはずです。


