「私って蚊に刺されやすいから、きっと血が美味しいんだわ〜」 「あの人、全然刺されないけど、血が不味いのかな?」
夏になると、誰もが一度は口にする(耳にする)このセリフ。まるで蚊がグルメな批評家のように、私たちの血の「味」を選別しているかのように感じられますよね。
しかし、これは本当にそうなのでしょうか?蚊は本当に、人間の血の「美味しい・不味い」を識別しているのでしょうか?
今回は、この素朴な疑問に、科学的な視点から切り込み、蚊の吸血メカニズムと「血の味」の真実を解き明かします。そして、蚊がなぜ特定の人に集中するのか、その本当の理由を解説していきましょう。
蚊は「血の味」を知っているのか?答えは「NO」!
結論から言うと、蚊は私たちの「血の味」を識別して吸血しているわけではありません。
私たちの血が蚊にとって美味しいか不味いかを判断しているわけではないのです。蚊の吸血行動は、私たちが普段想像するような「味覚」によるものではありません。
では、なぜ蚊は特定の人に集中したり、ある人を避けるように見えるのでしょうか?それは、蚊が獲物(私たち)を探す際に頼りにしている**「匂い」「二酸化炭素」「体温」といった、味覚以外のサイン**によるものです。
蚊が「好む人間」を識別する3つのサイン(「味」ではない!)
蚊は非常に効率的な吸血者です。限られた時間の中で、最も吸血しやすい、つまり「最も強い誘引サインを発しているターゲット」を優先的に狙います。
1. 嗅覚(匂い):「血の味」ではなく「皮膚の匂い」がカギ!
これが、蚊が人間を選ぶ上で最も重要な要素の一つです。蚊は私たちの**皮膚から発せられる匂い(揮発性物質)**に強く反応します。
- 汗の成分:汗に含まれる乳酸、アンモニア、アミノ酸、脂肪酸などの成分は、蚊にとって魅力的な誘引物質です。
- 皮膚の常在菌:私たちの皮膚には様々な常在菌が住み着いています。これらの常在菌が汗や皮脂を分解する際に生成される揮発性物質の種類やバランスが、人それぞれ異なります。蚊は、**特定の常在菌が作り出す「蚊が好む匂い」**を持つ人に強く引き寄せられます。足の裏の匂いが蚊にとって非常に魅力的と言われるのは、この常在菌が豊富に存在し、特有の匂い成分を生成するためです。
つまり、蚊は「血の味」ではなく、私たちの**「皮膚表面の匂い」を「美味しい」と判断している**かのように見えるのです。
2. 二酸化炭素(CO2):蚊にとっての「そこにいる」サイン
蚊は、人間が呼吸によって排出する二酸化炭素を非常に敏感に察知します。
- CO2排出量:呼吸量が多い人(体格の大きい人、運動後、飲酒後、代謝が活発な人など)は、より多くのCO2を排出し、蚊に遠くから「発見」されやすくなります。
蚊はCO2の濃度勾配をたどり、ターゲットに接近していきます。
3. 体温:蚊にとっての「吸血しやすい熱源」
蚊は温かい場所に引き寄せられます。体温は、蚊にとって血管が体表面に近く、吸血しやすい場所のサインとなります。
- 体温が高い人:平熱が高い人、運動後や入浴後で体が温まっている人、血行が良くなっている人は、蚊にとってより魅力的な「熱源」となります。
なぜ「O型は刺されやすい」と言われるのか?
「O型は蚊に刺されやすい」という話はよく聞かれます。これには科学的な根拠が指摘されていますが、これも「血の味」とは関係ありません。
ある研究では、O型の人の皮膚から、蚊を誘引しやすい特定の「分泌型物質」が放出されている可能性が示唆されています。つまり、O型であること自体が蚊を呼ぶのではなく、O型の人に多い**「皮膚から分泌される匂い成分」が蚊を引き寄せている**と考えられています。
まとめ:「美味しい血」ではなく「魅力的な体質」が蚊を呼ぶ!
蚊は「血の味」を知っているわけではありません。
私たちが「血が美味しいから刺される」と感じるのは、蚊が私たちの体から発せられる「匂い」「二酸化炭素」「体温」という誘引サインを強く感知しているからなのです。
そして、これらのサインの強さやバランスが、人それぞれ異なるため、「刺されやすい人」と「刺されにくい人」という差が生まれます。
もしあなたが「蚊に刺されやすい体質」だと感じているなら、それはあなたの血が特別に美味しいからではなく、蚊にとって「魅力的なサイン」を多く発しているからかもしれません。
蚊の習性を正しく理解し、これらのサインをコントロールする対策を講じることで、今年の夏は蚊に悩まされることなく、快適に過ごせるはずです!


