魚の世界には、「昔はこう呼んでいたのに…今は違う?」と感じる名前のズレがあります。
その代表例が、「メンドリ」と呼ばれる赤い魚。
・昔はメンドリと聞いていた
・でも最近見る“メンドリ”と少し違う気がする…
なぜこのような違和感が生まれるのでしょうか?
今回はその理由を方言・流通名・分類の観点から徹底解説します。
■ 「メンドリ」とはどんな魚か?
メンドリとは、ヒメジ科の魚の一種で、海底をヒゲ(吻の下の2本の触覚)で探りながらエサを見つける特徴があります。
見た目は鮮やかな赤色で、特に活魚の状態では非常に美しく、
高級魚「オジサン」と混同されることもあります。
■ 昔と今の「メンドリ」の違和感はなぜ起きた?
① 地域ごとの呼び名(方言)の違い
魚の名前は、地域によって呼び名がまったく異なります。
たとえば…
| 標準和名 | 関西名 | 九州名 | 市場流通名 |
|---|---|---|---|
| オジサン | メンドリ | メンドリ | オジサン or アカヒゲ |
| メンドリ | ハナオコゼ(混同) | メンドリ | メンドリ |
つまり、「昔のメンドリ」は別の種(たとえば“オジサン”)を指していた可能性があります。
標準和名と方言名が一致していないことで、呼称の混乱が起きているのです。
② 「オジサン」と「メンドリ」の混同
ヒメジ科の代表的な2種:
-
オジサン(Parupeneus multifasciatus):太くて鮮やかな縞模様が特徴
-
メンドリ(Parupeneus barberinus):より全体的に赤く、縞が薄いことが多い
昔は「赤いヒメジ=全部メンドリ」とされていた地域でも、
近年は標準和名に従った分類が浸透し、
市場や釣り場で「これはオジサン」「これはメンドリ」と使い分ける意識が高まったことで、
「昔のメンドリと違う」と感じるようになった可能性が高いのです。
③ スーパーや魚市場のラベル表記の変化
以前はざっくり「赤魚」「メンドリ」と表示されていたものも、
最近では漁協や流通業者が正確な種名でラベリングするケースが増えています。
その結果、
・“昔と同じ魚なのに名前が違う”
・“名前は同じなのに魚が違う”
という混乱が生じているのです。
■ なぜ魚名はこんなにややこしいのか?
魚名の混乱は、以下の要因が重なっています。
・方言と標準和名の違い
・釣り人・料理人・市場での呼び方の違い
・近縁種の存在と形態の類似性
・DNA解析の進歩で分類が見直された魚種もある
■ 結論|メンドリの名前が変わったのではなく、「呼ばれ方の基準」が変わった
・「昔のメンドリ」と「今のメンドリ」が違って見えるのは、分類や呼称の基準が変わったから
・名前が変わったのではなく、「何をメンドリと呼ぶか」の地域差や意識の違いが生まれている
・釣り人・市場・消費者の間で標準化が進む一方、方言は今も根強く残る


