「海藻が多い年=アオリイカの卵が多い」という考え方は、完全に間違いとは言えませんが、単純化しすぎた横暴な判断とも言えます。
以下のような理由からです。
■ なぜ「海藻が多い=卵が多い」と言い切れないのか?
・① 海藻は“条件”であって“決定因子”ではない
アオリイカは海藻や海草に卵を産みつけるため、確かに藻場が豊富な年は産卵場として好条件です。
しかし、海藻の多さ=卵の多さではありません。
なぜなら、アオリイカの親の数や産卵時期、海流、水温などの方が強く影響するからです。
・② 親イカの接岸数や水温が支配的
海藻が多くても、
・その年に親イカが沿岸まで来なければ卵は産まれません。
・水温が産卵適温(18~22℃)にならなければ繁殖行動も行われません。
たとえば、黒潮が外れて水温が低い年は、藻場が豊富でも産卵がほとんど起こらない年もあります。
・③ アオリイカは卵の場所を選ぶ
藻が多い=どこでも産む、というわけではありません。
ウミトラノオやホンダワラなどの柔らかく絡まりやすい藻を好み、
波が強すぎたり流れのある場所、濁った場所は避けられます。
つまり、藻の「質」と「環境」が重要です。
・④ 卵の生存率も重要
卵がたくさん産みつけられても、
・水温が急変したり
・プランクトンが多く酸欠になったり
・強風で藻場が流されたり
すれば、多くの卵が孵化せずに終わります。
つまり、「海藻が多ければ必ずイカが増える」とはならないのです。
■ 正しい理解は?
「海藻が多い=アオリイカの産卵環境が良い」
ただし、卵の数や翌年の個体数はその他多くの要素によって決まる
というのが正確な理解です。


