釣りや料理、海産物の販売などでよく耳にする「1匹」「1個」「1枚」といった数え方。
日常会話でも自然と使い分けている人が多いかもしれませんが、実はそれぞれにちゃんとした理由や背景があるのをご存じでしょうか?
特に魚は「匹」で数えるのに対し、**アワビやサザエは「個」や「枚」**で数えることが多いのは、なぜなのか?
今回は、海の生き物の数え方の秘密をわかりやすく解説していきます。
■ 魚は「1匹(いっぴき)」が基本
「アジを3匹釣った」
「イカを5杯釣った」
といった具合に、魚やイカ、タコなどは「匹」や「杯」で数えるのが一般的です。
この「匹」という数え方は、小動物や生きて動くものに対して使われるのが基本です。
つまり、
・犬、猫、鳥、うさぎ → 1匹、2匹
・魚類 → 1匹、2匹
といったように、ある程度小型で、生きて動く動物や魚類に適用されます。
イカの場合はなぜ「杯(ぱい)」?と思われる方もいるかもしれませんが、これは古くからの漁業や料理の慣習によるもので、イカの形状が盃(さかずき)に似ているという説もあります。
■ では、アワビやサザエはなぜ「匹」ではなく「個」や「枚」なのか?
● 理由①:殻を持つ=動物というより「モノ」として扱われる
アワビやサザエは、確かに生き物です。
ですが、その特徴的な硬い貝殻に覆われていて、動きも非常にゆっくりなため、**「動物としてのイメージが薄く、モノとして扱われる」**ことが多くなっています。
そのため、
・サザエ → 1個、2個
・アワビ → 1個 または 1枚
という数え方が一般的になっています。
まるで「物体」や「商品」を数えるときのように、「個」や「枚」が使われるのです。
● 理由②:「食材・商品」としての扱いが強い
アワビやサザエは、高級食材・贈答品として取り扱われることも多く、市場や飲食店ではより「商品」としての意味合いが強くなります。
その結果、「匹」といった生き物的な数え方よりも、「個」「枚」といった商品の単位としての数え方が定着しているのです。
● 理由③:古くは「貝」は「枚」で数えていた
特にアワビに関しては、干物や生の状態にかかわらず「1枚」と数えることが多いのは、江戸時代以前からの慣習が続いているためです。
「干しアワビ1枚」「活けアワビ1枚」などは、今でも料理人や海産物業者の中では一般的な言い回しです。
この「枚」は、平たい形状をしたものや紙、皿、衣類などに用いられる単位であり、アワビの形状がそれに合っているためと考えられます。
■ サザエとアワビの違いによる数え方の微差
同じ巻貝でも、サザエは「1個」とされることがほとんどです。
これは、サザエの殻が丸く厚みのある形状で、「枚」という単位に馴染まないからです。
また、スーパーや市場では「サザエ1個200円」などのように価格が表示されるため、消費者も自然と「1個」という単位に慣れています。
一方、アワビは料理の世界や漁師の間では「1枚」と呼ばれることが今も多いため、専門性の高い文脈では枚数で表記される傾向があります。
■ まとめ:海の生き物の数え方早見表
| 生き物名 | 主な数え方 | 備考 |
|---|---|---|
| アジ・サバなどの魚 | ~匹 | 小動物として |
| タコ・エビ・カニ | ~匹(料理では尾や杯) | 地域差あり |
| イカ | ~杯 | 伝統的な表現 |
| サザエ | ~個 | 「商品」として数えられる |
| アワビ | ~枚/~個 | 料理や贈答品では「枚」が多い |
| ホタテ貝 | ~枚/~個 | 干物や料理では「枚」 |
| カキ(牡蠣) | ~個 | 生食用や販売品として |
■ 終わりに
海の生き物には、その見た目や動き、用途によって数え方が違うという奥深い文化があります。
「1匹、1個、1枚」――
たったこれだけの違いですが、背景には日本人の暮らしや食文化、言葉の繊細さが詰まっています。
料理人や釣り人、海産物を扱う人たちの世界では、それぞれの数え方が自然と使い分けられており、そこに敬意と知恵が込められているのです。
ぜひ、次にアワビやサザエを見かけたとき、「個?枚?どっちだっけ?」と考えてみてください。
きっと、いつもの海産物がちょっとだけ特別に見えてくるはずです。


