■ 潮だまりに沈むアジ──それは無駄になったのか?
堤防や磯場で釣りを楽しむ人なら、時折目にする光景があります。
潮だまりに沈んだ、一尾のアジの亡骸。
アオリイカ釣りで使われたであろうこのアジは、役目を終えた「使い残し」かもしれません。
しかし実はこの姿、無駄ではなく、海の命の循環の一部として機能しているのです。
■ タイドプールは「小さな海の社会」
タイドプール(潮だまり)は、干潮時に岩場や窪地に残された海水のたまり場。
この限られた空間には、小さな生物たちが密集して暮らしています。
・ヤドカリ
・イソガニ
・ヒザラガイやアメフラシなどの貝類
・小型のベラやハゼ、ギンポなどの小魚
彼らは、漂着した海藻や有機物、そして死んだ魚の残骸をエサにして生きているのです。
■ アジがもたらす命のリレー
写真にあるアジもまた、このタイドプールの命を支える栄養源となります。
・ヤドカリは肉片をついばみ、貝殻の隙間に隠れながら食事
・イソガニは爪で身をはがし、岩陰でこっそり食べる
・巻貝やヒザラガイがじわじわと皮膚を分解して摂取
・小魚はほぐれた身をついばみ、栄養補給
まさに「命が命を繋ぐ場」──それがタイドプールなのです。
■ アオリイカ釣りと自然のつながり
アオリイカ釣りでは、活アジや冷凍アジを使うことが多く、
釣れなかったりロストした餌が海中に残ることもあります。
これは一見、もったいない・環境負荷と捉えられがちですが、
自然界ではすぐにリサイクルされ、新たな命の糧になるのです。
むしろ、人工物ではなく「生物由来の餌」が残ることは、
生態系に優しい循環の一端ともいえるでしょう。
■ 釣り人としてできる配慮
とはいえ、すべてが自然に還るわけではありません。
以下のような意識を持つことで、さらに持続可能な釣りができます。
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不要になった餌は海ではなく決められた場所に処理
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潮だまりに捨てるのではなく、自然に還る場所を選ぶ
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タイドプールを観察の場として尊重し、生物を脅かさない
釣り人一人一人の行動が、南紀の豊かな海を守ります。
■ まとめ:釣り餌は「役目を終えた後も、生きている」
・タイドプールは海の縮図。小さな命が集まる重要な生態系
・釣り餌のアジも、死後に多くの生き物の糧となる
・命のリレーに無駄はない。自然のサイクルの一部に感謝を
・釣り人の配慮が、海の豊かさを未来へつなぐカギになる


