アイゴ(バリコ)は和歌山では食べるが、三重では食べないという。この地域性はどこから来たのか?

アイゴ(バリコ)を和歌山では食べるが、三重ではあまり食べない」という地域差は、単に味の好みだけではなく、文化・風土・漁業・宗教観・歴史的背景など複合的な要因から生まれたと考えられます。

以下に詳しく解説します。


■1.アイゴ特有の「磯臭さ」と食文化の許容度の違い

アイゴは、海藻を主食とする草食性の魚で、腸に独特の強い臭い(通称:磯臭さ)があることでも知られています。

この磯臭さは調理時に強く出やすく、「腹ワタを取るタイミング」や「血抜き・熟成法」で大きく差が出ます。

・和歌山:臭みを処理する技術と文化が根付いている

和歌山では、アイゴを干物、塩焼き、煮付け、寿司ネタとして上手に処理して食べる文化が残っており、
特に紀南地方(串本や新宮周辺)では好んで食べる家庭が多いです。

・三重県:臭みのイメージが強く、忌避されてきた

一方、三重県では「アイゴ=臭い魚」「食べたくない魚」という印象が強く、
あえて市場に出さず、リリース対象や外道扱いされる傾向が強くなりました。


■2.漁業スタイルと市場の流通圏の違い

三重県では、養殖マダイやイセエビなど高級魚の流通が強く、磯魚は脇役扱いです。

対して、和歌山県の南部(紀南)では、磯魚や地魚を地元で消費する「自家消費型の漁業文化」が根付いており、
アイゴのようなローカル魚でも食卓に頻繁に登場します。

このような漁業スタイルの違いも、食文化の差を生んでいます。


■3.信仰・宗教観の影響(仏教・神道的思想)

アイゴは、その針や毒棘の印象から、「忌み魚(いみざかな)」として扱われることもあります

特に神事や伝統行事の際、トゲのある魚を避ける習慣がある地域もあります。

三重県の伊勢志摩地域は伊勢神宮を中心に神道的な価値観が強く残っており、
「尖ったもの」や「毒を持つもの」を日常から避ける傾向があった可能性もあります。

対して、和歌山の熊野信仰圏では、地元で獲れる魚は「すべてありがたい命」として広く受け入れられてきた背景があります。


■4.「親が食べていたかどうか」で文化が継承される

魚の食文化は、「親が食べていたかどうか」に大きく影響されます。

和歌山では、昔から「バリコは臭いけど旨い」と言って家庭で調理していた世代が多いため、
それが現代にも受け継がれています。

一方、三重では「昔から食べなかったから、今も食べない」という文化の継続で、
そもそも調理方法すら知らない家庭も少なくありません。


■5.SNS・現代メディアの影響は逆転現象を生む可能性も

最近では、YouTubeやInstagramでアイゴ料理の美味しさが再評価され、
「実は旨い魚」として注目されつつあります。

特に**臭みを抑える下処理の情報(内臓を即取り・血抜き・熟成など)**が共有され始め、
今後、三重でも再評価されていく可能性があります。


■まとめ|なぜ和歌山では食べて、三重では食べないのか?

要因 和歌山 三重
磯魚への許容度 高い(地魚重視・工夫して食べる) 低い(磯臭さ=避ける傾向)
漁業スタイル 自家消費型・地魚活用型 養殖中心・高級魚流通型
宗教的価値観 熊野信仰→自然との共生 神道→忌み物の回避意識強め
家庭料理の継承性 「昔から食べていた」 「昔から食べなかった」
メディア影響 地元中心で認知が続いている 再評価の兆しが見られる

「アイゴ(バリコ)を和歌山では食べるが、三重ではあまり食べない」という地域差は、単に味の好みだけではなく、文化・風土・漁業・宗教観・歴史的背景など複合的な要因から生まれたと考えられます。釣太郎

 

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