私たちが日常で使う魚の名前――実は地域によって全然違う「地方名(方言名)」が多く存在し、
それを統一するために定められたのが「標準和名(ひょうじゅんわめい)」です。
では、その標準和名はいつ、誰が、どのように決めたのか?
詳しく解説します。
■ 標準和名はいつからあるの?
◎ 本格的に整備されたのは 明治時代後半〜昭和初期
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江戸時代までは、魚の名前は**ほとんどが地域独自の呼び方(方言)**で、統一された呼称は存在しませんでした。
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明治時代に入り、博物学・分類学・水産学の近代化が始まり、
国内外での研究・流通・教育のために統一名称が必要とされたのです。
👉 標準和名の整備が本格化したのは 明治30年代〜昭和初期ごろとされています。
■ 誰が標準和名を決めたの?
◎ 中心となったのは 日本の博物学者・魚類学者たち
特に有名なのは:
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渡瀬庄三郎(わたせ・しょうざぶろう)
明治・大正時代の博物学者で、分類・命名に尽力した一人。 -
川那部浩哉(かわなべ・ひろや)
現代における魚類分類の権威。「日本の淡水魚」「日本産魚類大図鑑」の編者。 -
仲谷一宏(なかや・かずひろ)、中坊徹次(なかぼう・てつじ) など
近年の標準和名整理の中心人物。特に中坊氏は「日本産魚類検索図鑑」編者。
■ どうやって名前を決めたの?
標準和名は、以下のような基準で定められています:
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| ① 学名との対応 | 国際的な分類(ラテン語の学名)と対応することが前提 |
| ② 使用頻度の高い名称を優先 | 各地の呼び名の中で最も広く使われている名称を採用 |
| ③ 混乱が少ない名前 | 他の魚と混同しにくい名称を選定 |
| ④ 地方名・商品名は避ける | 地域限定や流通向けの名ではなく、中立的な呼称にする |
◎ 決定機関は?
現在は主に 「日本魚類学会」や「日本魚類分類学会」 が協議し、
「日本産魚類検索 全種の同定 第三版(2023年)」などの公式図鑑に基づいて命名・変更されます。
■ 例:地方名と標準和名の違い
| 地方名 | 標準和名 | 地域・背景 |
|---|---|---|
| グレ | メジナ | 西日本(釣り名として定着) |
| ガシラ | カサゴ | 関西圏の方言名 |
| キントキ | ヒオドシ | 九州での通称が広がっている |
| ベラ | キュウセン | 商品名として使われるが標準和名ではない |
| トンボ | ビンナガマグロ | 高知・和歌山などでの呼び名 |
■ まとめ:標準和名は“全国統一ルール”のために生まれた
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時期 | 明治30年代~昭和初期に整備開始 |
| 主導者 | 魚類学者・博物学者(渡瀬庄三郎、中坊徹次など) |
| 方法 | 学名と対応+全国的に混乱の少ない名称を選定 |
| 現在の基準 | 「日本産魚類検索」などの専門図鑑に準拠 |
| 意義 | 研究・教育・図鑑・取引の混乱を防ぐための標準化 |


