南紀地方で「白浜町椿(つばき)を境に海が変わる」と言われるのは、地元釣り人のあいだでは有名
な話で、実際に海の色・潮の性質・魚種まで変化する境目とされています。
その理由をわかりやすく、いくつかの観点から解説します。
■ 理由①:黒潮の接岸・離岸の境界
・黒潮(日本海流)はフィリピン海から流れ込む暖流で、魚影の濃さや海の色に直結します。
・この黒潮が接岸(岸に寄る)してくるのが「串本〜すさみ〜椿」あたりまで。
・それより北(白浜北部~田辺~みなべ)では、黒潮の流れが岸から離れる傾向があり、潮の力や
透明度がやや落ちる場合が多い。
👉つまり、「椿」を境に黒潮が近いエリアと、やや離れるエリアが切り替わるというわけです。
■ 理由②:地形の変化(リアス式と砂浜の切り替え)
・**椿以南(すさみ・串本方面)はゴツゴツとした磯地形(リアス式海岸)**が続き、深場も
多く、潮通しがよい。
・一方、椿以北(白浜・田辺・みなべ方面)は砂地・緩やかな湾が多く、潮の流れがやや緩慢。
👉この地形の違いによっても、水の色(青さ)や栄養塩の混ざり方、魚の生息環境が異なってきます。
■ 理由③:河川の影響・濁り
・白浜〜田辺〜みなべ方面は河川の流入が多く、濁りが出やすい。
・それに対して、椿以南は山が急峻で河川の影響が少なく、水が澄みやすい。
👉これも「海の色が変わる」と感じる一因になります。
特に雨の後などは違いがはっきり出ます。
■ 理由④:漁師や釣り人の経験則の蓄積
・「椿を境に海が変わる」という言葉自体は、何十年も釣りをしてきた地元漁師たちの実感からきています。
・魚の釣れ方・エサ取りの種類・回遊のタイミングなど、経験的に明らかな違いがあるため、
このように語り継がれているのです。
■まとめ
要素 | 椿より北(白浜〜田辺〜みなべ) | 椿より南(すさみ〜串本) |
---|---|---|
潮の色 | やや緑がかる、にごりやすい | 黒潮の影響で青く澄む |
潮流 | 比較的穏やか | 速く潮通し良い |
地形 | 砂地や湾が多い | 磯が多くリアス式 |
魚種 | アジ・イカ・チヌなど | 青物・グレ・大型根魚も豊富 |
海水温 | 黒潮の影響やや弱め | 黒潮の影響強く水温高め |
この境界を意識すると、釣行ポイントの選定にも役立ちます。
「今日は椿より南で潮が効いてる磯に行こう」など、上級者がこの知識をうまく活かしているわけです。