夕焼けの名残が空を茜色に染める頃、私は砂浜に打ち上げられた。波に洗われた体は、まるで磨き
上げられた宝石のように光り輝いていた。
私の名はカプリ、小さなタカラガイだ。
かつて私は、深い海の底で仲間たちと静かに暮らしていた。穏やかな波に揺られ、海藻の間を
縫うように漂う日々。
しかし、ある日突然、大きな波が私を住み慣れた場所から連れ去った。
荒れ狂う波に翻弄され、私は何度も砂に叩きつけられた。もうダメかと思った時、波は私を静かに
砂浜へと運び上げた。
砂浜に打ち上げられた私は、まだ命を繋ぎとめていた。しかし、潮が引いていくにつれ、体は
徐々に乾き始め、輝きも失われていった。
「私は、このまま死んでしまうのだろうか…」
そう思った時、一人の少女が私に気づいた。
「見て、綺麗な貝殻!」
少女は私を手に取り、その小さな瞳を輝かせた。
「まるで宝石みたい。」
少女は私を優しく手のひらで包み込み、そっと砂浜に置いた。
「また明日、会いに来るね。」
少女の言葉に、私は微かに希望を感じた。
翌日、少女は約束通り私に会いに来た。少女は私を手に取り、海へと連れて行ってくれた。
「さようなら、カプリ。元気でね。」
少女は私をそっと海に放した。私は再び波に乗り、深い海へと帰って行った。
あれから長い年月が経ち、私の体はすっかりくすんでしまった。
それでも、少女との思い出は、今も私の胸の中で輝き続けている。
砂浜に打ち上げられた貝殻は、死んでしまうこともありますが、写真の貝殻はまだ光沢があるため、死んでから間もないかもしれません。
貝殻がくすむまでの時間や、粉々に割れるまでの時間は、種類や環境によって大きく異なります。
一般的に、貝殻は数十年から数百年、場合によっては数千年かけて砂や土に還ると言われています。


