潮がぶつかり合い、白波が砕ける荒れた海。
その波間に立つ一人の釣り人。
冬の北西風が吹き荒れる中、彼は迷わず沖へと歩を進める。
普通の釣り人なら敬遠するようなコンディション。
だが、彼は知っている—— 「荒れた海こそ、グレが動く」 ということを。
撒き餌が潮に乗り、波間に散らばる。
海中で漂うマキエの粒子に、グレが興奮し群れを成す。
波が高く、魚の警戒心は薄れ、活性は最高潮に達する。
ウキが一瞬、海に沈む。
次の瞬間、竿が大きくしなる。
フッキングと同時に、暴れるグレの重量感が伝わる。
流れに乗って走る魚を、巧みにいなしながら寄せる。
「これだ…!」
強風に耐え、しぶきを浴びながら、満足げに竿を絞る釣り人。
その背中には、荒波を制し、グレと対峙する者だけが持つ覚悟が宿る。
「波があるほど、グレは釣れる」
荒れた海こそ、フカセ釣り師の舞台なのだ。


