チヌ(黒鯛)に濃淡2色の個体が存在する理由は、主に生息環境や行動の違いによるものです。
釣り人の間で「黒っぽい個体」と「白っぽい個体」として認識されるこの現象は、以下の要因
で説明できます。
1. 生息環境の影響
チヌの体色は、周囲の環境に溶け込むことで捕食者から身を守る「保護色」の役割があります。
そのため、生息場所の特性によって体色が異なることが一般的です。
黒っぽいチヌ
- 生息環境: 岩場、磯場、フジツボや海藻が多い場所に多い。
- 理由: 磯場や岩場などの暗い背景に溶け込むため、体色が黒っぽくなる。特に波の影響を受ける荒磯に生息する個体は、より濃い体色になることが多いです。
- 特徴: 体が引き締まり、力強いファイトを見せる個体が多い。
白っぽいチヌ
- 生息環境: 砂地、泥底、河口周辺の汽水域に多い。
- 理由: 明るい背景に適応するため、体色が淡くなる。砂や泥の色に溶け込むことで外敵から身を守る効果があります。
- 特徴: 比較的ゆったりした環境で生活しているため、黒っぽい個体に比べて体格がふっくらしていることが多い。
2. 成長段階の違い
チヌは成長段階によっても体色が変化します。
若い個体(チンチンと呼ばれるサイズ)は、色が淡い傾向があり、成長するにつれて色が濃くなる場合があります。
これは、生息環境への適応とともに、体表の色素細胞が変化するためです。
3. 水温と活動環境の影響
水温や水質の違いも体色に影響を与えます。
- 低水温: 水温が低い環境では、代謝が下がるため体色が濃くなる傾向があります。
- 高水温: 水温が高い環境では、体色が淡くなる傾向があります。
また、濁りが強い水域では体色が濃くなり、透明度が高い水域では体色が淡くなる場合があります。
4. 行動や性別による影響
のっこみ(乗っ込み)期などの繁殖行動中は、体色が一時的に変わることもあります。
- 婚姻色: 繁殖期のオスは、より黒くなることがあります。これは、他の個体との競争や縄張り意識の高まりによるものです。
まとめ
チヌに濃淡2色の個体が見られる理由は、以下の要因が複合的に影響していると考えられます:
- **生息環境(岩場や砂地)**による保護色の違い。
- 成長段階や性別による体色変化。
- 水温や水質の影響による代謝や適応の違い。
これらの特徴を理解すると、釣り場や釣れる個体の性質がより詳しく把握でき、チヌ釣りの戦略を
練る際に役立ちます!