「魚は見栄えが悪いほど旨い」という風評は、ある意味真実を含んでいますが、全ての場合に
当てはまるわけではありません。
この風評について、様々な角度から考察し、具体例を交えて解説します。
この風評が成り立つ理由
- 深海魚や底生魚: 深海や海底に生息する魚は、水圧や光の届かない環境に適応するため、独特の形状をしていることが多いです。例えば、アンコウやマトウダイなどは、見た目はグロテスクですが、身は淡白で上品な味わいです。これらの魚は、運動量が少ないため、身が柔らかく、旨味成分が凝縮されている傾向があります。
- 未利用魚: これまで食用としてあまり利用されてこなかった魚の中には、見た目が奇抜なものがいます。しかし、近年、漁獲技術の進歩や食文化の変化により、これらの魚も注目されるようになりました。例えば、オニオコゼやアイナメなどは、見た目は怖いですが、白身で美味しく、高級魚として扱われることもあります。
- 食わず嫌い: 見た目の先入観から敬遠されがちな魚の中には、実際に食べてみると美味しいものがいます。例えば、ウツボやアナゴなどは、見た目が蛇に似ているため、苦手意識を持つ人もいますが、蒲焼きや天ぷらにすると美味しく食べられます。
この風評が成り立たない場合
- 鮮度の問題: どんな魚でも、鮮度が落ちれば美味しくありません。特に、内臓が傷みやすい魚は、見た目が悪くなくても、鮮度が悪いと臭みが出たり、味が落ちたりします。
- 調理方法: 魚の美味しさは、調理方法によって大きく左右されます。例えば、高級魚でも、調理方法を間違えると、本来の美味しさを引き出せない場合があります。
- 個体差: 同じ種類の魚でも、個体によって味に差があります。例えば、天然の魚は、生育環境や餌によって味が変わることがあります。
具体的な例
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美味しいが、見栄えが悪いとされる魚:
- アンコウ:グロテスクな外見ですが、肝(あん肝)は珍味として知られています。
- マトウダイ:馬面のような顔をしていますが、白身で上品な味わいです。
- オコゼ:毒を持つトゲがありますが、白身で美味しく、高級魚として扱われます。
- ウツボ:蛇のような外見ですが、蒲焼きや天ぷらにすると美味しく食べられます。
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見栄えも良く、美味しいとされる魚:
- マダイ:祝いの席などでよく使われる高級魚で、見た目も味も良いです。
- ヒラメ:刺身や煮付けなどで美味しく、見た目も上品です。
- キンメダイ:深海魚ですが、赤い体色が美しく、味も良いです。
結論
「魚は見栄えが悪いほど旨い」という風評は、一部の魚には当てはまりますが、全ての場合に当て
はまるわけではありません。
魚の美味しさは、見た目だけでなく、鮮度、調理方法、個体差など、様々な要素によって決まります。
大切なのは、先入観にとらわれず、色々な魚を試してみることで、自分にとって本当に美味しい魚
を見つけることです。


