釣りの醍醐味は、何が釣れるかわからないところにあります。
もちろん、狙いがアオリイカだったとしても、自然はそんな思惑をあっさり裏切ってくれるのです。
ある日、私は活けアジをエサに、意気揚々とヤエン釣りに出かけました。仕掛けを準備し、
アジを泳がせながら「今日は大物のアオリイカを釣ってやるぞ!」
と心の中で拳を握っていました。
潮の流れも良好、アジも元気よく泳ぎ回っています。これはイケる、と思ったその時、ラインが
「ギューン!」と走りました。
「来た!」
焦らず慎重にヤエンを投入し、イカがアジを抱いているタイミングを見計らいます。
「これは間違いなくアオリイカだな」とニヤリ。
そして、いよいよ勝負の瞬間!慎重に巻き上げると、何やら黒い影が水面に近づいてきます。
しかし……。
「え、イカじゃない? なんか長い……しかもヌルヌルしてる!」
そう、それはアオリイカではなくウツボ!立派なウツボがアジにがっついて、仕掛けに絡まって
きたのです。
正直、最初はガッカリしました。でも、よく考えるとこれはこれで珍しい体験。
ウツボの顔をじっくり見ながら、「お前じゃないけど、まあいいか」と半ば諦めの境地に。
仕掛けを外す時には、ウツボの暴れる力強さに笑いが止まらず、なんとも言えない滑稽な時間を
過ごしました。
結局その日はアオリイカには出会えませんでしたが、帰宅後に釣り仲間へ話すと爆笑の渦に。
「アオリイカ狙いがウツボ釣りになっちゃったか!」と、からかわれつつも楽しい思い出になりました。
釣りは狙い通りにいかないからこそ面白い。そして、ウツボのようなサプライズがあるから
やめられないんです!
次こそはアオリイカを釣るぞ、と心に誓いつつ、また海に向かうのでした。


