結論からいうと、真アジの「居着き何%、回遊何%」という全国共通の固定比率は、今の研究でもはっきり決まっていません。
最近の研究でも、マアジには居着き型と回遊型の存在が示唆されている一方で、太平洋沿岸でその具体的な割合はまだ十分に解明されていないとされています。
そのため、ブログや釣り現場で割合を語るなら、
「厳密な全国統一比率は未確定」
そのうえで、
「海域ごとには回遊優勢か、居着き優勢かの傾向がある」
と説明するのが最も正確です。
研究上わかっていること
水産研究・教育機構の資源評価では、日本近海のマアジには、東シナ海を主産卵場とするグループと、本州中部以南の地先で産卵する地先群があると整理されています。
ただし、太平洋系群については地先産卵の割合はわずかとされています。
つまり太平洋側のマアジは、全体として見ると広域から来る回遊要素がかなり強いと読めます。
さらに2025年の研究では、マアジには昔から回遊型と居着き型の2つの移動パターンが想定されてきたことが再確認されています。
一方で、その論文自体も太平洋沿岸で具体的にどれくらいの割合で分かれるかは、まだ明らかでないとしています。
全国的に見た割合の考え方
ここは断定ではなく、研究結果からの実務的な読み方になります。
太平洋側では、主産卵場が東シナ海寄りで、地先産卵は少ないとされているため、**全国スケールで見れば真アジは「回遊型寄り」**と考えるのが自然です。
つまり、魚群全体の母集団としては、
回遊型が主役、居着き型は補助的
という見方がいちばん無理がありません。
ただし、釣り人が堤防や港内で実感する割合は別です。
なぜなら釣り場では、港内、常夜灯、係留ロープ周り、潮のヨレなどに残る小さな居着き群が、実際の釣果を支えることが多いからです。
研究でも地域によっては、加入後にそのまま沿岸に残る群と、広く散る群があることが示されています。
全国向けにわかりやすく言うなら
厳密な統計値ではありませんが、釣り人向けの説明としては、
全国的な母集団感覚
回遊型 7〜9
居着き型 1〜3
このくらいのイメージで捉えると、大きく外しにくいです。
これは「論文にそう書いてある比率」ではなく、
主産卵場が広域側にあり、地先産卵は少ないという資源評価と、
実際には居着き群も存在するという研究結果を合わせた、現場向けの推定です。
南紀ではどう見るべきか
南紀は黒潮の影響を受けやすい海域です。
しかも近年の太平洋系群の漁獲では、和歌山県から宮崎県までの太平洋南区が6割を占めるとされています。
この数字だけでも、南紀を含む南側海域が、マアジ資源の中でかなり重要な受け皿になっていることがわかります。
また、太平洋沿岸の比較研究では、宇和海、紀伊水道、熊野灘、相模湾、常磐・房総で成長差が確認されており、海域ごとに別の動きをしていることがうかがえます。
さらに宇和海の研究では、北側では沿岸に残りやすい群、南側では広く散りやすい群が示されました。
南紀は黒潮に近く、外洋影響が強い場所が多いため、宇和海南部側に近い発想で見るほうが現場感に合います。
南紀向けに言い換えると
南紀の真アジは、全国平均よりさらに回遊要素が強めに出やすいと考えられます。
特に、外向き堤防、潮通しの良い波止、沖向き、潮目が絡む場所では、回遊群が入った時に一気に釣れる形になりやすいです。
一方で、港内、内湾、常夜灯、係留船周り、養殖周辺のような場所では、小型中心の居着き群が成立しやすいです。
つまり南紀でも居着きはゼロではありませんが、海全体の性格としては、全国平均より回遊寄りと考えるのが妥当です。
これは南紀の多くの釣り場で、
「昨日はおらんかったのに今日は急に入った」
「群れが抜けたら一気に終わった」
という現象が起きやすい理由ともつながります。
南紀の実務的な目安
これも論文にそのまま載った比率ではなく、研究と海況特性からの推定ですが、
南紀の真アジの見え方
回遊型 8〜9
居着き型 1〜2
このくらいで考えると、現場では説明しやすいです。
ただしこれは外洋に面した南紀全体の傾向であって、
漁港の最奥部や常夜灯周辺だけ切り取れば、見かけ上は居着き比率がもっと高く見える日も普通にあります。
サビキ釣りではどう使い分けるか
この話は、ただの学術ネタではありません。
サビキ釣りではかなり重要です。
回遊型が強い日は、潮が動く時間、朝夕まずめ、外向き、群れの接岸が勝負です。
群れが見えたらテンポ良く手返しすることが大切です。
居着き型が強い場所では、常夜灯、港内、足元、撒き餌の効かせ方、タナの微調整が効きます。
派手な爆発力はなくても、安定して釣果を積み上げやすいです。
要約
真アジには、居着きと回遊の両方があります。
ただし、全国共通で何対何と断言できる公式割合は、今のところありません。
そのうえで、研究と資源評価を踏まえると、
全国的な傾向
回遊型が主。
居着き型はいるが、全体では補助的。
南紀的な傾向
全国よりさらに回遊寄り。
ただし港内や常夜灯周りでは居着き群も十分成立する。
なので、釣り人向けに一言でまとめるなら、
全国では「回遊7〜9、居着き1〜3」の感覚。
南紀では「回遊8〜9、居着き1〜2」の感覚。
これが、いちばん現場に落とし込みやすい言い方です。
ただしこれは研究からの推定レンジであり、厳密な実測比率ではない点は、きちんと添えておくべきです。

