釣った魚を捌くとき、水道水でジャブジャブと念入りに洗っていませんか。
「綺麗に洗えば洗うほど、清潔で美味しくなる」。
そう思っているなら、それは大きな間違いです。
実は、魚の味を最も落としている原因は、この「水洗い」のやり過ぎにあることが多いのです。
プロの料理人と一般の方で、最も差がつくポイントは包丁捌きではありません。
「水」の扱い方です。
今回は、なぜ水洗いが味を左右するのか、その科学的理由と「正しい洗い方」を解説します。
1. 真水は「旨味泥棒」である
魚の身(細胞)には、塩分や旨味成分が含まれています。
ここに真水(水道水)が長時間触れると、どうなるでしょうか。
「浸透圧」の働きにより、真水が魚の細胞の中にどんどん入り込んでいきます。
その結果、細胞が水で膨れ上がり、逆に旨味成分は外へ流れ出してしまいます。
これが、「刺身が水っぽい」「味が薄い」と感じる最大の原因です。
水道水は、汚れを落とすための「洗剤」であり、長く触れさせてはいけない「劇薬」だと思ってください。
2. 洗うのは「一瞬」!3秒ルール
では、どう洗えばいいのでしょうか。
鉄則は**「短時間で、ピンポイントに」**です。
ダラダラと全体を流す必要はありません。
洗うべき場所は、雑菌や汚れが溜まっている「内臓を取り出した後のお腹の中」と「エラ」だけです。
ここを流水でサッと流し、血合いをブラシで掻き出したら、すぐに水を止めます。
身の方(切った断面)には、極力水を当てないようにするのがコツです。
3. 「洗う」と「拭く」はセット作業
洗った後、ザルに上げて放置していませんか。
これもNG行動です。
表面に残った水道水は、その瞬間からどんどん身の中に浸透していきます。
洗ったら、「秒」で拭いてください。
キッチンペーパーを使い、表面だけでなく、お腹の中の水分も完全に吸い取ります。
「水気を一滴も残さない」。
ここまでやって初めて「水洗い完了」です。
4. こだわるなら「塩水」処理
もし、さらに上のレベルを目指すなら、真水の代わりに「塩水」を使ってください。
海水と同じくらいの濃度(約3%)の塩水で洗えば、浸透圧の差が生まれないため、身が水っぽくなりません。
それどころか、余分な水分が抜け、身が引き締まり、旨味が凝縮されます。
プロの現場では常識のテクニックです。
まとめ:水は「敵」だと思って扱う
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水道水は旨味を奪う。
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洗うのは内臓と血合いだけ。
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洗ったら即座に拭き取る。
この3つを意識するだけで、家庭の刺身は劇的に濃厚になります。
「今日の刺身、なんか味が濃いね!」
家族にそう言われたら、それはあなたの「水洗い」がプロの領域に達した証拠です。
釣太郎では、皆様の釣果を最高の一皿にするための情報を発信し続けています。
せっかくの南紀の美味しい魚、正しい処理で味わい尽くしてください。

