和歌山県、南紀の海といえば、広大で平らな磯が特徴的です。
釣り人の皆さんも、足場が良くて釣りやすいと感じたことがあるのではないでしょうか。
実はこの「平らな磯」には、数千万年という気が遠くなるような時間が関係しています。
今回は、私たちが普段何気なく釣りをしているその「足場」がどうやってできたのか、その謎に迫ります。
磯はどうやってできた?元は海の底だった
私たちが立っている磯の岩盤、元々はすべて「海の底」にありました。
今から約1500万年~2000万年前のことです。 当時の深海に、砂や泥が降り積もっていきました。
長い時間をかけて、それらが押し固められて「砂岩(さがん)」や「泥岩(でいがん)」という岩になります。
南紀の磯を見ると、白っぽい岩(砂岩)と黒っぽい岩(泥岩)が縞模様になっていることが多いのは、このためです。
海底で作られたこれらの岩盤が、巨大な地震や地殻変動のパワーによって、ググっと持ち上げられました。
これを「隆起(りゅうき)」と呼びます。
つまり、元々海の底深くに眠っていた岩が、地上に現れたものが現在の磯なのです。
なぜ南紀の磯は「平ら」なのが多い?
南紀の磯、例えば白浜の千畳敷や志原海岸などは、まるで畳を敷いたように平らです。
これは「波食棚(はしょくだな)」と呼ばれる地形です。
岩盤がまだ海面スレスレにあった頃、波の力で表面が削られました。
波が長い時間をかけて、岩の上部を平らに削り取っていったのです。
その後、先ほど説明した「隆起」によって、平らに削られた面がそのまま海の上に持ち上がりました。
その結果、南紀特有の、スパッと水平に切ったような平らな磯が完成したのです。
この「削られる」→「持ち上がる」というプロセスが、南紀の海岸線では何度も繰り返されています。
そのため、階段状になった「海岸段丘(かいがんだんきゅう)」という地形も多く見られます。
どれくらいの時間がかかっている?
磯の土台となる岩ができるまで、そしてそれが現在の形になるまでには、途方もない時間がかかっています。
まず、岩そのものが作られたのが、恐竜が絶滅したずっと後、約1500万年前~2000万年前です。
その後、数十万年単位で繰り返される氷河期ごとの海面変動と、地震による隆起が重なりました。
私たちが竿を出しているあの平らな磯は、数千万年の地球の歴史が生み出した奇跡の足場なのです。
そう考えると、いつもの磯釣りが少し壮大なものに感じられませんか。
釣太郎からのワンポイント
南紀の平らな磯は、足場が良く釣りがしやすいのが魅力です。
しかし、平らで低い磯は、波が這い上がってきやすいという危険もあります。
一見穏やかに見えても、満潮時やうねりがある時は、足元を波が洗うことがあります。
「平らだから安全」と過信せず、必ずライフジャケットを着用し、波の状況には常に注意を払いましょう。
安全に楽しんでこそ、最高の釣果につながります。
今度の釣行では、ぜひ足元の岩盤にも目を向けてみてください。
太古の海を感じながらのアオリイカやグレ狙いは、また格別の面白さがあるはずです。

