魚屋さんや釣りの現場で、「この魚は小顔だから美味しいぞ」という言葉を聞いたことはありませんか。
一見すると「顔の大きさなんて個体差では?」と思われがちですが、実はこれ、理にかなった
目利きのポイントなのです。
今回は、なぜ「小顔の魚」が美味しいと言われるのか、その科学的な理由と見分け方について解説します。
1. なぜ「小顔」が美味しいのか?その正体
結論から言うと、**「顔が小さく見えるほど、体が大きく太っているから」**です。
実際に魚の頭蓋骨が縮むわけではありません。
魚の骨格(頭の大きさ)に対して、背中の肉や腹身がたっぷりと盛り上がっているため、
相対的に顔が小さく見えている状態です。
これを釣り人や魚のプロは「小顔」と表現し、脂が乗った極上の個体として扱います。
2. 科学的な根拠:肥満度(コンディションファクター)
これを科学的な指標で表すと**「肥満度(Condition Factor)」という言葉が当てはまります。
魚の全長に対して体重がどれくらいあるかを示す数値です。
同じ50cmの魚でも、痩せている個体と太っている個体では、頭の骨の大きさはほぼ変わりません。
しかし、餌をたくさん食べて栄養状態が良い個体は、背中が盛り上がり(いわゆる「セッパリ」)、
胴回りが太くなります。
結果として、「頭の比率が低くなる=小顔に見える」**という視覚効果が生まれるのです。
つまり、「小顔=高栄養状態=脂が乗っている」という図式は、生物学的にも正しい推論と言えます。
3. 特に「小顔」を狙うべき魚種
この法則が特に当てはまりやすい魚がいます。
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ブリ(ハマチ・メジロ): 冬の寒ブリなどは顕著です。 背中が盛り上がり、顔が小さく見えるラグビーボールのような体型のものは、強烈に脂が乗っています。
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マダイ: 養殖モノは頭が小さく見えがちですが、天然物でも栄養豊富な海域のタイは、肩口の筋肉が盛り上がり、精悍な小顔に見えます。
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アジ: 「平アジ」や「幅広」と呼ばれる回遊せず根に付くタイプのアジは、体高が高くなるため、顔がちょこんと付いているように見え、非常に美味です。
4. まとめ:美味しい魚は「肩」を見ろ!
「小顔の魚」という噂の真実は、**「体がパンパンに太っている証拠」でした。
魚を選ぶ際や、釣った魚の価値を見極める際は、顔そのものを見るというより、
「顔の後ろの盛り上がり(肩の肉付き)」**に注目してみてください。
そこが盛り上がって顔が小さく見えるなら、それは間違いなく「当たり」の魚です。

