「昨日はあそこで尺アジが入れ食いだったらしいぞ。」
そんな情報を聞いて勇んで釣り場に向かったものの、全くアタリがなく撃沈した経験はありませんか。
南紀の冬のアジ釣りでは、日常茶飯事と言える光景です。
アジには「居着き(金アジ)」と「回遊(黒アジ)」がいるとされますが、南紀の尺アジは一体どちらなのか。
そして、彼らはどれくらいの範囲で移動し、なぜ突然姿を消すのか。
釣り人の疑問に答えるべく、アジの生態と南紀特有のパターンを深掘りします。
南紀の尺アジは「居着き」か「回遊」か?
一般的にアジは、体高があり黄色っぽい「居着き型(黄アジ)」と、細長く背中が黒っぽい
「回遊型(黒アジ)」に大別されます。
では、冬の南紀で釣れる尺アジはどちらでしょうか。
正解は「両方存在するが、冬は回遊型が一時的に居着くパターンが多い」です。
南紀のリアス式海岸は水深が深く、黒潮の影響を強く受けます。
そのため、本来は沖を回遊している黒アジの巨大な群れが、水温の安定した湾内や、エサの豊富な堤防周りに入り込み、そこで冬を越すためにしばらく定住(一時的な居着き)することがよくあります。
もちろん、純粋な地元の金アジもいますが、冬の爆発的な釣果をもたらすのは、この「回遊から居着きに変わった群れ」であることが多いのです。
「居着き」と言えど、これだけ動く
「居着き」という言葉を聞くと、同じ岩陰にじっとしている根魚のようなイメージを持つかもしれません。
しかし、アジにとっての「居着き」とは、「特定の湾やエリアを拠点にしている」という意味に過ぎません。
彼らの行動範囲は意外と広いのです。
1. 水平方向の移動(数百メートル〜数キロ)
湾内に居着いているアジでも、潮の動きに合わせて湾内をグルグルと回遊します。
エサとなるプランクトンが潮目でどこに流れるかによって、昨日は堤防の先端、今日は湾の奥、明日は対岸の磯、といった具合に、数百メートル単位で居場所を毎日変えます。
2. 垂直方向の移動(タナの変化)
これが最も厄介です。
昨日は水面下5メートルで食ってきたのに、今日は底ベッタリ(水深20メートル)に張り付いていることも珍しくありません。
水温や天気、気圧の変化で、快適な水深へ頻繁に移動します。
なぜ「昨日は爆釣、今日はボウズ」が起きるのか?
同じポイントで、たった1日で天国と地獄ほどの差が出る理由。
それはアジが「消えた」のではなく、「口を使わなくなった」か「少しズレた」だけかもしれません。
理由1:フィッシュイーター(捕食者)の侵入
南紀の海は豊かです。
アジの群れを追って、大型のアオリイカやブリ、サワラなどが湾内に入ってくることがあります。
天敵が近くにいると、アジは一斉に警戒モードに入り、岩陰や海底のくぼみに身を潜めてエサを食わなくなります。
「魚探には映っているのに釣れない」時はこのパターンが多いです。
理由2:潮流の角度が変わった
アジは「潮」に極めて敏感です。
昨日と同じ潮周りでも、風向き一つで「当て潮」が「払い出し」に変わることがあります。
プランクトンの溜まる場所が堤防からあと10メートル沖にズレただけで、コマセが届かず、アジも岸に寄ってこないという現象が起きます。
理由3:水温の急変(1℃の壁)
人間にとっての1℃の変化は微々たるものですが、変温動物であるアジにとって水温1℃の低下は、人間が真冬に暖房を切られるような衝撃です。
特に冬場、冷たい雨や寒波が入った翌日は、活性が極端に落ちることがあります。
まとめ:情報を制する者が尺アジを制す
南紀の寒尺アジは、確かにそこに居ます。
しかし、彼らは気まぐれに回遊範囲を変え、状況に応じて口を閉ざします。
「昨日釣れた場所」に固執せず、当日の潮の流れ、水温、そしてベイトの状況を読み解くことが、連日の釣果を上げるカギです。
釣太郎みなべ店では、スタッフが日々現地の状況をチェックしています。
「今日のアジはどこを回っているのか?」
「タナは深いのか浅いのか?」
ネットの情報だけでは分からないリアルタイムの情報を、ぜひ店頭で仕入れてください。
皆様の尺アジ攻略を全力でサポートいたします。

