エギングやヤエン釣りでターゲットとなるアオリイカですが、彼らの体の仕組みをじっくり観察したことはありますか。
今回は、アオリイカの体にある**「漏斗(ろうと)」**という器官にスポットを当ててみたいと思います。
「漏斗って、あの墨を吐く管のことでしょ?」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
確かに、危険を感じた時に墨を吐き出したり、海水を勢いよく噴出して「逆噴射」で逃げたりするときに使われます。
しかし、それだけが役割ではありません。
実はこの漏斗、アオリイカにとって**「生命維持」と「操縦」**を司る、非常に多機能な器官なのです。
南紀和歌山の釣太郎みなべ店の水槽で撮影した、貴重な映像とともに解説します。
1. 自由自在なハンドリング(方向転換)
アオリイカが海中でホバリングしたり、急に方向転換したりできるのはなぜでしょうか。
実は、この漏斗がボートの船外機(エンジン)のような役割を果たしています。
漏斗は筋肉でできており、360度近く自由に動かすことができます。
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後ろに進みたい時:漏斗を前に向けて水を噴射します。
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前に進みたい時:漏斗を後ろに向けて水を噴射します。
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旋回したい時:漏斗を横に向けて微調整します。
映像をよく見てみてください。 漏斗が細かく動き、絶妙なバランスを取っているのがわかります。
ただ水を吐き出しているのではなく、意思を持って噴射方向をコントロールしているのです。
2. 生きるためのリズム(呼吸)
そしてもう一つ、釣り人が意外と知らない最も重要な役割があります。
それは**「呼吸」**です。
アオリイカは外套膜(胴体部分)の中に海水を吸い込み、エラで酸素を取り込んでいます。
そして、使い終わった海水をこの漏斗から排出しているのです。
つまり、漏斗が動いているということは、イカが呼吸をしている証拠です。
映像の中で、漏斗が「パク、パク」とリズミカルに動いているのが確認できます。
これは単に泳いでいるのではなく、人間でいうところの「深呼吸」のような生命のリズムそのものです。
じっとしている時でも、彼らは絶えずこのポンプ作業を行っています。
3. 釣り人へのヒント
この漏斗の動きは、釣りの現場でも大きなヒントになります。
サイトフィッシング(見えイカ釣り)や、釣ったイカを観察する際、漏斗の動きに注目してみてください。
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リラックスしている時:漏斗の動きはゆっくりで安定的です。
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興奮・警戒している時:呼吸が荒くなり、漏斗の開閉が激しくなります。
イカの活性や警戒レベルを測るバロメーターとして「漏斗の動き」を見るようになると、アプローチの仕方も変わってくるはずです。
まとめ
アオリイカの漏斗は、単なる「墨吐き口」や「ジェット噴射口」ではありません。
巧みな操船を行う「舵(かじ)」であり、命をつなぐ「呼吸器」でもあります。
釣太郎みなべ店の水槽では、こうしたアオリイカの生態を間近で観察することができます。
ぜひお店に立ち寄った際は、エギや仕掛けを選ぶ前に、彼らの「漏斗」の動きをじっくり観察してみてください。
相手を知ることで、釣りはもっと奥深く、面白くなります。

