特に南紀のような捕鯨文化が根付いた地域では、質の高い部位を鮮度抜群で流通させる技術が確立されています。
🐋 昔のクジラ肉が「固くて貧しい食材」だった理由
昭和〜平成初期まで、クジラ肉は学校給食や家庭料理で「安価なタンパク源」として使われていました。
しかし当時流通していたのは、冷凍技術が未熟な時代の赤身中心の肉で、脂が少なく、筋が多く、加熱すると硬くなりやすいものでした。
- 冷凍輸送が不十分で、解凍時にドリップが出て旨味が流出
- 部位の選別がされていなかったため、硬い筋肉質の部位も混在
- 調理法も限られていた(煮込みや竜田揚げなど、硬さを誤魔化す方向)
その結果、「クジラ=硬い・臭い・貧しい食材」というイメージが定着してしまったのです。
🧊 現代のクジラ肉が柔らかく美味しい理由
① 種類の違い:ニタリクジラ・イワシクジラなどの高級種
現在流通しているクジラ肉の多くは、ニタリクジラやイワシクジラなど脂の乗った種類。
特にニタリクジラは赤身に甘みがあり、刺身でも食べられるほど柔らかく、旨味が強いことで知られています。
② 部位の違い:尾の身・畝須・鹿の子など高級部位
昔は赤身中心でしたが、今は「尾の身」や「畝須(うねす)」など脂が霜降り状に入った部位が人気。
これらは筋が少なく、加熱しても柔らかく、刺身でもとろけるような食感です。
- 尾の身:背中〜尾にかけての霜降り部位。希少で高価。
- 畝須:ヒゲクジラの下顎〜腹部の脂と赤身が層になった部位。
- 鹿の子:脂肪の中に赤身が点在する美しい部位。鍋やすき焼きに最適。
③ 鮮度と保管技術の進化
冷蔵・冷凍技術の進化により、捕獲後すぐに急速冷凍→低温輸送→適切な解凍が可能になりました。
これにより、ドリップが少なく、肉の繊維が壊れず、本来の旨味と柔らかさを保ったまま流通できるようになっています。
📝 まとめ:昔と今の違いは「選ばれたクジラ肉」かどうか
昔のクジラ肉は「安価で大量供給された赤身中心の硬い肉」でした。
今のクジラ肉は「種類・部位・鮮度管理が徹底された高品質な海のジビエ」。
特に南紀地方のような捕鯨文化が根付いた地域では、地元漁師と専門店が連携し、
最高の状態で提供する技術と哲学が受け継がれています。


