大雨が降った後、海が茶色く濁っているのを見て、「今日は釣れそうにないな…」と
諦めてしまった経験はありませんか。
その現象、もしかしたら「水潮(みずしお)」が原因かもしれません。
釣り人なら必ず知っておきたいこの「水潮」。
「ただの濁りじゃないの?」 「塩分濃度と何が違うの?」 という疑問から、
水潮の時に魚がどこへ行ってしまうのか、逆にチャンスとなる魚はいないのか、
初心者の方にも分かりやすく解説します。
1. そもそも「水潮」とは?
「水潮」とは、大雨によって川から大量の「真水(淡水)」が海に流れ込み、
沿岸部の「塩分濃度」が急激に薄まってしまう状態を指します。
海の魚は海水(塩水)で生きているため、この急激な塩分濃度の低下は、
人間が急に酸素の薄い場所に放り出されるようなもので、非常に大きなストレスとなります。
2. よくある疑問:「濁り」=「水潮」なの?
これが最大のポイントですが、答えは「イコールではありません」です。
大雨の後は「濁り」と「水潮」が同時に発生することが多いため混同されがちですが、この二つは全く別の現象です。
濁り(にごり)とは?
- 正体: 川から流れてきた「土や砂、泥」などの粒子です。
- 魚への影響:
- 視界が悪くなり、エサ(ルアーやエギ)を見つけにくくなります。
- エラに泥が詰まるのを嫌う魚もいます。
水潮(みずしお)とは?
- 正体: 流れ込んだ「真水」そのものによる、「塩分濃度の低下」です。
- 魚への影響:
- 海水魚の体調を直接悪化させます(浸透圧の異常)。
- 「濁り」よりもはるかに深刻なダメージを与える要因です。
**「濁りが取れても、水潮は残っている」**というケースも多々あります。
見た目はキレイになっても、塩分濃度が低いままで魚が戻ってこない…というのが、大雨後に釣れない典型的なパターンです。
3. なぜ水潮になると魚が消える?
「水潮」が発生すると、そのエリアの塩分濃度に耐えられない魚たちは、一斉に避難を開始します。
ここで知っておくべきなのが、**「真水は海水より軽い」**という性質です。
流れ込んだ真水は、海水とすぐには混ざらず、海の**「表層」**にフタをするように広がっていきます。
そのため、魚たちの避難場所は主に2パターンです。
① 沖へ(水平移動)
単純に、川の影響が及ばない、塩分濃度が安定している「沖」へと逃げていきます。
② 深場へ(垂直移動)
これが非常に重要です。
表層は真水で覆われていても、その下にある「底」付近には、重い海水が残っていることが多いのです。
魚たちは、この塩分濃度が安定した深場(ボトム)へ沈んで、水潮がなくなるのをじっと待っています。
アオリイカ、アジ、メバル、青物など、多くの人気ターゲットはこの方法で避難しています。
4. 逆にチャンス!濁りや水潮を「好む」魚もいる
ほとんどの魚が避難してしまう一方で、この状況を「チャンス」と捉え、むしろ活性が上がる魚もいます。
シーバス(スズキ)
代表格です。 シーバスはもともと塩分濃度の変化に強い(汽水域を好む)魚です。
- 濁り=自分の姿を隠せる(ベイトに気づかれにくい)。
- 川からの流れ=陸地の虫や、上流から流されて弱った小魚(ベイト)が大量に供給される。
これらが重なり、河口付近はシーバスにとって「絶好のビュッフェ会場」と化します。
チヌ(クロダイ)・キビレ
彼らも塩分濃度の変化に非常に強い魚です。
嗅覚が優れているため、濁りの中でも、川から流れてくるカニや貝、ゴカイといったエサを見つけ出して活発に捕食します。
5. とめ:水潮を理解して釣果につなげよう
大雨の後の釣りを攻略するヒントをまとめます。
- 「水潮」を避ける:
- 川の影響を直接受ける「河口」や「湾奥」は避ける。
- 外洋に面した「岬の先端」や「潮通しの良い場所」を選ぶ(水潮が抜けやすい)。
- 「深場」を狙う:
- 表層は諦め、ルアーや仕掛けをしっかりと「底」まで沈める。
- 魚は塩分濃度が安定したボトムに避難している可能性が高いです。
- 「魚種」を変える:
- アオリイカやアジがダメなら、思い切って河口の「シーバス」や「チヌ」狙いに切り替えてみる。
「大雨=釣れない」と決めつけず、水の中の状況をイメージすることが釣果への近道です。
安全には十分注意して、水潮を攻略してみてください。


