スーパーでは刺身は並んでいても、薄造りはほとんど見かけません。
その理由は、熟練の包丁技術・鮮度維持の難しさ・量販流通に不向きな繊細さにあります。
魚屋と料理人の視点から、薄造りがスーパーに並ばない本当の理由を詳しく解説。
最初に
スーパーの鮮魚コーナーに行くと、マグロやタイの刺身は並んでいるのに、
「薄造り」はほとんど見かけません。
フグやヒラメ、タイなど薄造りに向く魚があるのに、なぜスーパーでは扱われないのでしょうか?
実は、そこには技術・コスト・鮮度管理という3つの大きな壁があります。
今回は、釣り人・魚屋・料理人の視点で、“なぜスーパーに薄造りがないのか”を詳しく解説します。
そもそも「薄造り」と「刺身」は何が違うのか?
まずは基本的な違いを整理しましょう。
| 項目 | 刺身 | 薄造り |
|---|---|---|
| 厚さ | 約3〜5mm | 約0.5〜1mm |
| 包丁技術 | 一般的 | 熟練職人レベル |
| 使用魚種 | 赤身・白身全般 | 主に白身魚(ヒラメ・フグなど) |
| 味の特徴 | 魚本来の旨味 | ポン酢など調味料で味を引き出す |
| 盛り付け | シンプル | 菊花・扇状など装飾的 |
刺身は“魚そのものを味わう料理”。
一方、薄造りは“魚と調味料の調和を楽しむ料理”であり、
美しさと繊細さが求められる料理人の世界です。
理由① 熟練の包丁技術が必要
薄造りは、ただ薄く切るだけでは成立しません。
0.5mm以下で均一な厚さ・透明感・形の美しさを保たなければならないのです。
包丁の角度、引き方、魚の温度、身の硬さ——。
ほんの少しでもずれると、破れたり、形が崩れたりします。
つまり、専用の技術と経験がなければ商品として並べられないのです。
スーパーの鮮魚スタッフは、もちろんプロではありますが、
1日に数十種類の魚をさばく多忙な現場で、
薄造りにかける繊細な時間を取ることはできません。
理由② 薄造りは「保存に向かない」
薄造りは刺身よりも圧倒的に酸化しやすく、乾燥に弱いです。
薄い身は空気に触れる面積が広く、わずか数時間で水分が飛び、色が白く変色してしまいます。
| 比較 | 保存時間(冷蔵) | 状態 |
|---|---|---|
| 厚切り刺身 | 約12〜18時間 | 色・食感とも安定 |
| 薄造り | 約3〜4時間 | 乾燥・変色・食感劣化 |
スーパーのように、商品を半日以上ショーケースで陳列する販売形態では、
薄造りは時間に耐えられないのです。
理由③ 見た目の劣化が早く「売れ残りリスク」が高い
薄造りは盛り付けた直後が最も美しく、
時間が経つにつれてドリップ(汁)が出て透明感が失われます。
消費者は“見た目”で新鮮さを判断するため、
少しでも白く乾いた薄造りは売れ残りの原因になります。
つまり、美しさが持続しない=ロスが出やすい。
量販店にとっては非常に扱いづらい商品なのです。
理由④ ポン酢や薬味など「食べ方の説明」が必要
薄造りは、ただ魚を並べるだけでは成立しません。
ポン酢・もみじおろし・ネギなどの味の組み合わせが前提となる料理です。
スーパーでは、消費者がその魚の食べ方を理解しているとは限らないため、
「調味料・盛り付け方法・保存温度」などを説明しなければ売れません。
結果として、販売コストと説明コストが高すぎるため、刺身だけが主流になっているのです。
理由⑤ 量産が難しく、単価も合わない
薄造りは1皿あたりの作業時間が約5〜10分。
一方、刺身は1〜2分で仕上がります。
同じ人件費で考えると、薄造りを並べるよりも通常の刺身を多く並べた方が利益が出るのです。
また、薄造りは盛り付け面積が広く見えるため、実際の量より多く見えてしまい、
単価を上げにくいという問題もあります。
例外的に扱うスーパーもある
一部の高級スーパーや地域密着型鮮魚店では、職人経験のあるスタッフが在籍しており、
ヒラメやタイの薄造りを特注で提供することもあります。
ただし、
-
注文後に手切りするスタイル
-
陳列時間を短くする
-
調味料を同梱する
など、一般的な量販型スーパーとは販売体制が異なります。
料理人の間では「薄造りは提供直前に切る」が鉄則
薄造りは提供から3分以内が勝負。
時間が経てば、
-
身が乾く
-
香りが飛ぶ
-
食感が薄れる
という三重苦に陥ります。
だからこそ、薄造りはスーパーではなく、**板前が目の前で切る「ライブ料理」**として存在しているのです。
まとめ|薄造りがスーパーに並ばないのは当然だった
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 技術的な問題 | 熟練包丁技術が必要で量産不可 |
| 鮮度・保存性 | 酸化・乾燥に弱く、陳列時間に耐えられない |
| 見た目 | すぐに色・艶が落ちる |
| コスト | 作業時間が長く利益が出にくい |
| 販売 | 食べ方説明が必要で一般客に難しい |
つまり、薄造りは**「家庭用や量販用には向かない職人料理」**なのです。
スーパーに並ばないのは手抜きではなく、繊細な品質を守るための判断とも言えるでしょう。
要約
🎣 薄造りは“切るタイミングが命”の料理。
家庭で楽しみたいなら、釣った魚を海水氷で冷やしておき、
食べる直前に薄く切るのが最高の贅沢。
釣太郎の海水氷(1kg200円・3kg400円)で、プロの味に一歩近づけます。
FAQ
Q1:なぜスーパーに薄造りがないの?
A1:薄造りは技術と鮮度管理が難しく、量販には向かないためです。見た目の劣化も早く、陳列できる時間が短いのが理由です。
Q2:薄造りは家庭で作れる?
A2:可能ですが、包丁を冷やして0.5〜1mmに均一に切る技術が必要です。魚はヒラメやタイなど白身がおすすめ。
Q3:刺身との違いは?
A3:刺身は魚の味をそのまま楽しむ料理、薄造りはポン酢や薬味で旨味を引き出す料理です。


