「寿司(すし)」は日本の食文化を代表する料理ですが、
その成り立ちは今の“握り寿司”とはまったく違うものでした。
じつは寿司の起源は、魚を保存するための発酵食品だったのです。

🐟 寿司のはじまり ― 発酵保存食「なれずし」
寿司の原点は、東南アジアの「ナレズシ(fermented fish)」という発酵食品。
魚を塩で漬け、ご飯と一緒に発酵させることで、長期間保存できるようにしたものでした。
日本には稲作が伝わった弥生時代(約2000年前)にこの発酵文化も入ってきたとされています。
最初の寿司は、魚を保存するための“ご飯の漬け床”。
つまり、ご飯は食べず、魚だけを食べていたのです。
● 代表例:鮒寿司(ふなずし/滋賀県)
琵琶湖のニゴロブナを使い、塩とご飯で半年〜1年ほど発酵。
酸味と香りが強く、チーズのような味わい。
現代でも残る、寿司の最古形態です。
🍶 発酵を短縮した「生なれ寿司」の誕生
平安〜鎌倉時代になると、発酵期間を短くした「なまなれ(生馴れ)寿司」が登場します。
これは、魚とご飯を一緒に食べるようになった最初の寿司。
発酵を数日〜数週間に短縮することで酸味をほどよく残し、
保存食から“食事”へと進化したのです。
🍱 江戸時代前期 ― 酢を使う「早ずし」へ
江戸時代に入ると、米酢の普及によって寿司文化が一気に変わります。
酢を使えば、発酵させなくても“酸味”を再現できる。
こうして、短時間で作れる「早ずし(はやずし)」が誕生しました。
京都では「押し寿司」、大阪では「箱寿司」などが盛んになります。
🍣 江戸時代後期 ― 「握り寿司」の誕生
今の寿司の原型、「握り寿司」が生まれたのは江戸時代後期(1820〜1830年ごろ)。
発案者とされるのが、江戸の屋台料理人「華屋与兵衛(はなや よへい)」です。
当時、江戸の町には忙しい職人が多く、
「手早く食べられる寿司」が求められていました。
彼が考案したのが、
・酢飯を手で握り、
・上に魚をのせるというスタイル。
これが**「江戸前寿司」**と呼ばれ、屋台で瞬く間に人気となります。
当時は保存のために、魚に軽く火を通したり、酢や醤油で〆たりしていたのが特徴です。
🏙️ 明治〜昭和 ― 屋台から高級店へ
明治時代には冷蔵技術が進み、
生の魚(生ネタ)も使われるようになります。
戦後になると衛生管理の問題から屋台営業が規制され、
店内で提供する「寿司屋」の形に定着。
こうして現在の回らない高級寿司店スタイルが広まりました。
🚗 昭和後期〜現代 ― 回転寿司の登場
1958年、大阪の「元禄寿司」が世界初の回転寿司を開業。
ベルトコンベアで皿を流すアイデアは、ビール工場の流れ作業をヒントにしたといわれます。
その後、冷蔵流通・チェーン展開が進み、
「回転寿司」は庶民的な食文化として全国に浸透しました。

