イカの刺身は柔らかく甘みがあるのに、加熱するとゴムのように硬くなってしまうことがあります。
一方で、タコは加熱しても比較的柔らかさを保ちやすいイメージがあります。
この違いには、筋肉の構造やタンパク質の性質といった「科学的な理由」が隠されています。
イカとタコの「筋肉構造」の違い
・イカの筋肉は「平行筋繊維」が多く、短時間で収縮しやすい特徴があります。
・タコの筋肉は「網目状筋繊維」が多く、熱による収縮スピードが緩やかです。
この構造の差が、加熱時の食感に直結します。
イカは短時間でタンパク質が収縮して水分が一気に抜けるため、火を通し過ぎるとゴムの
ような硬さになりやすいのです。
タンパク質の性質と「硬さ」の関係
イカの筋肉には「ミオシン」「アクチン」などの筋収縮タンパク質が多く含まれます。
これらは約60〜70℃で急激に変性し、水分を放出します。
特にイカはタコよりもミオシン含有量が多く、熱変性による筋繊維の収縮が大きいため、
加熱時間が長いと急激に硬化します。
タコは筋肉中にコラーゲンが豊富で、加熱中にゼラチン化しやすく、長時間煮ても柔らかさを
保つ効果があります。
水分保持力の差
・イカ:筋繊維の間に保持できる水分が少なく、加熱すると一気に失われる
・タコ:コラーゲンが水分を保持し、長時間煮てもジューシーさを保ちやすい
このため、イカは短時間加熱でプリッと仕上げるのが理想的です。
柔らかく仕上げる調理のポイント
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短時間加熱
・炒め物や天ぷらは30秒〜1分以内が目安 -
低温調理
・60℃前後でゆっくり加熱するとタンパク質の変性を抑えられます -
酸を利用
・レモン汁や酢を下味に使うことで筋繊維をほぐし、水分保持を助けます -
一度急冷
・ボイル後に氷水で冷やすと収縮を抑えて柔らかさがアップします
まとめ
イカが火を通し過ぎると硬くなる理由は、
・平行筋繊維による急激な収縮
・ミオシンの多さによる熱変性
・水分保持力の低さ
これらが重なった結果です。
一方、タコはコラーゲンが多く、煮込んでも柔らかさを保ちやすいという特徴があります。
調理の際は「短時間」「低温」「酸の利用」を意識することで、イカ本来の甘みと
柔らかさを楽しめます。


