秋の味覚を代表する魚「サンマ」。
ひらがなやカタカナで書かれることも多いですが、新聞やメニューでは「秋刀魚」という漢字表記を見かけます。
なぜサンマだけが秋+刀+魚という独特な字で表されるようになったのでしょうか。
今回はその理由と歴史を、釣り人にも役立つ豆知識として解説します。
「秋刀魚」という漢字が示す意味
・秋=旬の季節
サンマの漁期は9月~11月がピーク。
秋に最も脂が乗り、旨みが増すことから「秋」の字が選ばれました。
・刀=細長い体型
サンマは全長30cm前後の細長い魚で、光沢のある銀色の体が刀を連想させます。
漁師の間では「刀のような青光り」と呼ばれることも。
・魚=魚であることを示す標準の部首
中国や日本で多くの魚に使われる定番の漢字です。
この3つを合わせて「秋刀魚」となり、
“秋に獲れる刀のような魚” という意味を完璧に表現しています。
漢字が使われ始めた時期
サンマ自体は古くから日本沿岸で食べられてきましたが、
「秋刀魚」という漢字が文献に登場するのは**江戸時代後期(18世紀後半)**が最初とされています。
・それ以前は「サンマ」「佐牟波(さむは)」「狭真(さま)」など、
音に基づいた表記が主流でした。
・江戸後期に中国からの漢字文化が庶民に浸透する中で、
季節や形を分かりやすく表す「当て字」として秋刀魚が使われ始めます。
・明治時代に新聞や書籍で一般化し、
昭和期には料理本や市場の看板でも広く定着しました。
他の魚との漢字比較
・鰯(イワシ)=弱い魚(鮮度が落ちやすい)
・鯖(サバ)=青い色(青魚を意味する)
・鰹(カツオ)=堅い魚(身がしっかりしている)
これらの漢字は、魚の特徴や性質を表したもの。
サンマも同様に、旬・形状・特徴を組み合わせて命名されたことが分かります。
秋刀魚という名が広まった背景
・江戸時代の大衆食文化の発展
庶民が安価で大量に食べられる魚としてサンマが人気に。
・浮世絵や川柳でサンマが題材に
秋の風物詩として庶民文化に根付く。
・明治以降の活字文化
新聞・雑誌・レシピ本が「秋刀魚」を統一的に使用し普及。
釣り人豆知識:サンマの漁と旬
・サンマは北太平洋を回遊し、秋に南下して本州沿岸に接岸。
・旬は9〜11月で、脂質・DHA・EPAが年間で最も高くなる。
・釣り人の間では「秋刀魚前線」という言葉もあり、
黒潮や親潮の接点を追う漁が有名。
まとめ
サンマが「秋刀魚」と書かれる理由は
・秋に獲れる
・刀のように細長く輝く
という特徴を端的に表した当て字です。
江戸時代後期に生まれ、明治・昭和を経て一般化したことで、
今日では季節を象徴する漢字として定着しました。
旬の時期にこの漢字を見かけたら、
その背景にある江戸文化と秋の恵みを思い浮かべてみるのも一興です。


