岩礁帯に生息するイガミは、釣り人から人気のターゲットであり、その独特な見た目でも知られています。
中でも、鳥のくちばしのように見える口元と、ギザギザと並んだ歯は、一度見たら忘れられないインパクトがあります。
このユニークな歯には、彼らが生き抜くための驚くべき秘密が隠されています。
1. 複数の歯が融合した「歯板」
ブダイ科の多くの魚は、顎の歯が多数融合して、まるでオウムのくちばしのような頑丈な「歯板」を形成しています。
しかし、イガミ(ブダイ)の場合は、完全に癒合しておらず、一枚の板ではなく、小さな歯が何層にも重なり合って見えるのが特徴です。
この構造により、岩などに付着した海藻や、硬い甲殻類をガリガリと噛み砕くことができます。
2. 生涯にわたって生え変わる「再生能力」
イガミの歯は、私たち人間の歯とは異なり、折れたり欠けたりしても、サメのように次々と新しい歯がせり上がって生え変わる仕組みを持っています。
これにより、硬い岩やサンゴをかじる過酷な食生活でも、常に鋭い歯を維持できるのです。
3. 奥にもう一つの秘密の歯「咽頭歯」
イガミには、口元の歯だけでなく、喉の奥にもう一つの歯「咽頭歯(いんとうし)」があります。
この咽頭歯は上下にあり、すり合わせることで、口元の歯で砕いた餌をさらに細かくすり潰し、消化を助ける役割を果たしています。
この二段階の歯の構造によって、イガミは岩ごと海藻を食べて栄養を効率よく摂取することができるのです。
イガミの歯が示す生態
イガミは、夏場はエビやカニなどの甲殻類を好み、冬場には海藻を主食にするなど、季節によって食性が変化することが知られています。
この雑食性を支えているのが、硬い甲羅も噛み砕く頑丈な歯と、植物繊維をすり潰す咽頭歯なのです。
彼らのユニークな歯は、厳しい自然環境で生き抜くための、まさに進化の結晶と言えるでしょう。


