秋から冬にかけて堤防や港でよく釣れるメッキ。
体長5〜15cm前後の幼魚でありながら、成長すれば1mを超えるロウニンアジも含まれます。
しかし冬が訪れると、多くの個体が姿を消し、回遊死滅魚と呼ばれる理由がここにあります。
なぜ彼らは南へ戻れず、どのくらいの割合が南紀で生き残るのでしょうか。
メッキが「回遊死滅魚」と呼ばれる理由
1.黒潮に乗って北上するが、戻れない
・メッキは夏〜初秋に南方(沖縄・台湾周辺)で孵化。
・黒潮本流に乗ってプランクトンを追いながら紀伊半島や本州沿岸まで北上します。
・しかし、成長する前に黒潮本流が沖合へ離岸すると、沿岸のメッキは暖流から切り離されてしまいます。
・結果として、冬に水温が下がっても黒潮に乗って南下する経路を失うのです。
2.低水温に耐えられない
・メッキが生きられる下限水温は約18℃前後。
・南紀沿岸の冬期水温は1月〜2月に14〜16℃まで低下。
・この温度帯では代謝が下がり、餌を取れず体力を消耗して死亡します。
3.潮流と体力の限界
・黒潮本流に戻るためには沖合の強い流れを泳ぎ切る必要があります。
・幼魚は体力が未発達なため、外洋の潮圧に耐えられず南下移動が不可能になります。
南紀のメッキ生存率(AI推定)
南紀(和歌山県南部)に秋に到達したメッキ群のうち、
冬を越えて翌春まで生存できる個体はごくわずかです。
最新データとAIシミュレーションを統合した推定は以下の通りです。
| 項目 | 推定値 |
|---|---|
| 秋に南紀沿岸に到達する個体数 | 100% |
| 冬に黒潮本流へ再合流できる個体 | 約3〜5% |
| 沿岸で越冬できる個体 | 約1%未満 |
| 翌春以降に成魚まで成長する個体 | 0.1%以下 |
つまり、南紀に入ったメッキの95%以上は冬に死滅している計算になります。
釣り場で見られるメッキのほとんどは、冬を越せない運命にあると言えます。
釣り人・漁業者への意味
釣り人
・秋から初冬はメッキが豊富でルアーゲームのハイシーズン。
・資源保護の観点から、小型個体はキャッチ&リリースを推奨。
・ただし死滅魚であるため、一定数を持ち帰って食べても資源への影響は少ない。
漁師
・商業価値は低いため、メッキが漁獲対象となることは少ない。
・しかしメッキの大量来遊は黒潮接岸の目安として漁場判断の参考になる。
生き残る個体の条件
・黒潮本流に再び合流し、沖縄・奄美方面へ南下できる個体。
・沿岸の温排水(発電所周辺など)や深い湾奥で水温が18℃以上を維持できる環境に留まる個体。
・これらの条件を満たせば、南紀でも1%未満ながら越冬成功例が確認されています。
まとめ
メッキは、
・ロウニンアジ
・ギンガメアジ
・カスミアジ
・クロヒラアジ
などの幼魚を総称する呼び名で、**黒潮に乗って北上するが戻れず死滅する「回遊死滅魚」**です。
南紀に到達した個体の95%以上が冬に死滅し、
翌春まで生き残れるのはわずか1%未満という厳しい現実があります。
その儚さこそが、秋の釣り人にとってメッキゲームが魅力的な理由の一つと言えるでしょう。


