「さて、潮止まりだし、カップラーメンでも食べるか」
釣り場でよく聞くこのセリフ。潮が動かない「潮どまり」は、魚の活性が下がり、アタリが遠のく…これは釣り人の間で半ば常識とされています。
しかし、もしその「休憩時間」が、実は30%の確率で大物を手にできるゴールデンタイムだとしたら、あなたはどうしますか?
多くの釣り人が竿を置き、集中力を切らすその時間こそ、ライバルに差をつける絶好のチャンスかもしれません。
この記事では、「潮どまりは釣れない」という固定観念を覆し、その時間を戦略的に攻略するための具体的な理由と秘策を徹底解説します。
なぜ「潮どまりは釣れない」と言われるのか?
まず、この通説がなぜ生まれたのかを理解しておきましょう。潮が動かないと、
- プランクトンが流れない: 海中の生態系のベースとなるプランクトンの動きが止まります。
- ベイトフィッシュの動きが鈍る: プランクトンを追う小魚たちの活性も下がります。
- フィッシュイーターの捕食スイッチが入らない: 捕食対象が動かないため、大型魚も省エネモードに入ります。
このロジックは決して間違いではありません。事実、多くの魚は潮の動きに同調して捕食活動を行います。
しかし、この原則に当てはまらない魚や状況、そして場所が存在するのです。
覆る常識!潮どまりで「釣れる」3つの科学的理由
「釣れない時間」から「釣れる時間」へと思考を転換させる、3つの根拠をご紹介します。
理由1: 潮は”完全には”止まっていない!「残存流」と「地形ヨレ」の存在
潮見表の上では潮の動きが「0」でも、広大な海が完全に静止することはありません。
風の影響や、沖を流れる本流の引力によって、「残存流」と呼ばれるわずかな流れが常にどこかで生じています。
特に、岬の先端や堤防の角、沈み根の周りなど、地形が複雑な場所ではこの残存流がぶつかり、**局所的な「ヨレ」**を発生させます。
このヨレは、体力の消耗を嫌う魚たちにとって、エサが流れてくるのを待ち構える絶好の捕食ポイントになるのです。
理由2: 激流を嫌う魚たちの「フィーディングタイム」
全ての魚が速い流れを好むわけではありません。
- チヌ(黒鯛): 流れが緩んだタイミングで、警戒心を解いて底のエサを漁ることがあります。
- メバル、カサゴなどの根魚: 普段は流れを避けて根やテトラの奥に潜んでいますが、潮が緩むことで巣穴から出てきて、大胆に捕食活動を始めることがあります。
- シーバス(居着き型): 橋脚や岸壁のシェード(影)などに潜む個体は、流れがない方がルアーを正確に捕食しやすくなります。
彼らにとって潮どまりは「休憩時間」ではなく、むしろ**動きやすい「活動時間」**なのです。
理由3: 潮の「転換点」という最大のチャンス
潮どまりは「停止」ではなく、潮の流れが「反転」する直前の静寂です。
これから動き出す潮に乗って接岸してくるベイトを、誰よりも早く捕食しようと待ち構えている高活性なフィッシュイーターが必ずいます。
特に「上げ止まりから下げ始める瞬間」「下げ止まりから上げ始める瞬間」は、海中の状況が最も劇的に変化するタイミング。
人間には感じ取れないわずかな流れの変化を魚たちは敏感に察知し、一斉に捕食スイッチを入れます。
この「動き始めの一投」に全てをかける価値があるのです。
潮どまりを「チャンス」に変える具体的な釣り方
では、実際にどう攻めればいいのでしょうか。
- 「静」の釣りで丁寧に探る 流れがないため、ルアーや仕掛けをゆっくり見せて誘う「静」の釣りが効果的です。ワームをじっくりフォールさせたり、エサを一点で止めたりすることで、低活性な魚の目の前に届け、リアクションバイトを誘います。ボトムの地形変化も把握しやすいため、根掛かりを恐れずタイトに攻めましょう。
- ストラクチャーを正確に撃つ 余計なラインの流れが出ないため、橋脚や岸壁の際、沈み根といったストラクチャー(障害物)にルアーを寸分違わずアプローチできます。居着きの魚をダイレクトに狙い撃ちにする絶好の機会です。
- 五感を研ぎ澄まし、「変化」を捉える 海面に浮かぶゴミがどちらに動き始めたか、ラインがわずかにフケる、もしくは張る感覚。その小さな変化が、潮の転換点を知らせるサインです。誰よりも早くその変化を捉え、フレッシュな魚の前にルアーを送り込みましょう。
まとめ:その30分が、釣果を分ける
「潮どまりは釣れない」という言葉は、半分は真実ですが、残り半分は思考停止の言い訳かもしれません。
潮が緩む時間は、戦略を切り替え、普段は攻めきれないポイントを丁寧に探る絶好の機会です。
周りの釣り人が休憩しているその30分〜1時間が、あなたの釣果を劇的に変える**「確率30%のボーナスタイム」**になり得ます。
次の釣行では、潮どまりのサイレンが鳴っても竿を置かず、海中の変化に耳を澄ませてみてください。
きっと、今まで出会えなかった一匹が、あなたを待っているはずです。


