海辺を歩いていると、波打ち際に打ち上げられたペットボトルや木片、発泡スチロールに、白い貝のようなものがびっしり付いているのを見たことはありませんか。
それが、今回ご紹介する**「エボシガイ」**です。
一見すると貝の仲間に見えますが、実は甲殻類。
カニやエビの仲間に近い生き物で、海面を漂う漂流物に付着しながら生活します。
エボシガイの特徴
・体は白い殻に覆われていて、縁はオレンジ色を帯びる
・殻の中から、黒っぽい触手のような器官(蔓脚)が伸びる
・この蔓脚を広げて、海中のプランクトンを捕らえて食べる
・貝殻のように見える部分は甲殻類特有の殻板
エボシガイは、殻の中からスッと身が伸びたり、引っ込んだりするため、初めて見た人は少し気味悪く感じることもあります。
どこで見られる?
エボシガイは外洋性の生物で、日本沿岸の岩場にはほとんど生息しません。
代わりに、流木・ロープ・漁具・漂流ゴミ・ペットボトルなど、海面を漂うあらゆるものに付着します。
台風や大しけのあとに浜辺を歩くと、打ち上げられた漂着物に付着していることが多く見られます。
なぜペットボトルに付着するのか?
ペットボトルは軽く、波に揺られて長期間海を漂いやすい漂流物です。
エボシガイの幼生は海中を漂いながら付着できる場所を探しており、一度くっつくと一生そこから離れません。
そのため、海に浮かぶペットボトルはエボシガイにとって格好の“住まい”になります。
ちょっと気持ち悪いけど面白い生態
エボシガイの殻の中から伸びる黒い触手は、よく見ると羽のように広がっていて、海中の微細な生物をキャッチします。
触手はリズミカルに動き、獲物を殻の中に送り込みます。
観察していると、まるで海中で手を広げて食事をしているかのような不思議な光景です。
ただし、あまりに密集していると動きが生々しく、苦手な人には「ゾワッ」と感じられるかもしれません。
食べられるの?
海外では**「グースネックバーナクル」**として食用にされることもあり、特にスペインやポルトガルでは高級食材です。
日本でも一部の地域(伊豆諸島など)で食べられますが、一般的には食用として流通していません。
海洋ゴミとの関係
今回のようにペットボトルに付着しているエボシガイは、同時に海洋ゴミ問題も浮き彫りにします。
エボシガイ自体は自然の生物ですが、ペットボトルなどの人工物が長期間海を漂い、広範囲に移動してしまう原因にもなっています。
これは、外来種が他の海域に移動する**“ラフト効果”**を引き起こし、生態系に影響を与える可能性も指摘されています。
まとめ
・エボシガイは甲殻類の一種で、海面を漂う漂流物に付着して生活する
・ペットボトルや流木、漁具などにびっしり付くことがある
・殻から触手を出してプランクトンを捕食する
・一部地域では食用になるが、日本では珍しい
・海洋ゴミ問題とも深く関わる
浜辺でペットボトルにびっしり付いたエボシガイを見つけたら、少し観察してみるのも面白いかもしれません。
ただし、持ち帰る際はにおいや鮮度の問題もあるので要注意です。



