魚好きなら一度は耳にしたことがあるでしょう。
「夏のボラは臭くて食えないが、冬のボラは美味い」と。
実はこれ、昔から知られている事実です。
でも、なぜ季節によってここまで味が変わるのか?
今回はその理由を、釣り人目線でわかりやすく解説します。
ボラは季節で体質が大きく変わる魚
・ボラ(鯔)は沿岸域の汽水域から内湾に広く分布
・プランクトンや底の泥中の有機物、藻類などを食べる雑食性
・成長も早く、大きいものでは60cm以上に育つ
もともとボラは「食べ物の影響を強く受ける魚」です。
食べるもの次第で味も大きく変化します。
夏のボラが臭くなる原因
① エサの質が悪くなる
夏場は水温が上がり、内湾や河口ではプランクトンが大量発生します。
これに伴い、水中の有機物も増え、腐敗したヘドロのような臭いを含む微細な有機物を多く食べるようになります。
結果、身に独特の泥臭さや生臭さが移ります。
② 水質悪化と貧酸素
夏場の内湾は水温が高くなり、酸素量が減少しやすくなります。
ボラが活動する浅瀬の水質も悪化し、ヘドロ臭・泥臭の原因に直結します。
③ 活動量が高く、脂が落ちる
夏は代謝が活発で、脂肪は蓄積されにくい季節。
身質はややパサつき、旨味も薄くなります。
これも食味の低下要因となります。
冬のボラが美味しくなる理由
① エサが変わる
冬になると水温が下がり、プランクトンの発生が減少。
水の透明度が上がり、ボラの食べるエサも安定します。
植物プランクトンや有機泥よりも、藻類・小動物中心に切り替わります。
結果として、泥臭さの原因物質が減少します。
② 産卵前で脂が乗る
ボラは冬から春にかけて産卵期に入ります。
そのため冬場は栄養を蓄え、体に脂がたっぷり乗ります。
冬ボラの身はしっとり、ねっとりと脂がまわり、旨味成分も増加します。
③ 水質が安定する
冬は水温が低いため、水中の酸素量も高くなります。
底質の腐敗も抑えられ、泥臭さの原因が減ります。
これが冬ボラの「臭みのない白身」につながります。
鮮度管理も重要
ボラは鮮度が落ちると特有のアンモニア臭を出しやすい魚です。
釣ったらすぐに活け締め・血抜きをし、海水氷で冷やすのがコツ。
これを徹底すれば、冬場のボラは刺身でも絶品です。
昔の料理屋でも重宝された「冬ボラ」
現在ではあまり食用にされないボラですが、養殖技術が普及する前の時代、冬の天然ボラは高級魚扱いされていました。
特に関西や関東の老舗料理屋では
・ボラの洗い
・ボラの刺身
・ボラの白子(真子)
などが季節のご馳走として出されていました。
養殖魚が主流になる前は「冬ボラの刺身はフグにも負けない」と評されることもあったのです。
まとめ
・夏のボラは餌・水質の影響で臭みが出やすい
・冬のボラは脂が乗り、臭みが抜け、旨味が凝縮
・釣ったら鮮度管理を徹底すれば絶品
もし釣りで冬に良型のボラが釣れたら、ぜひ一度食べてみてください。
「えっ、これがボラ?」と驚くほど上品な白身の旨さに出会えます。


