南紀地方の海岸や潮だまりで、手のひらサイズの小さな巻貝を背負った「ヤドカリ」を見かけたことはありませんか?
その愛らしい姿と動きに、思わず見入ってしまう人も多いでしょう。
今回は、南紀の海岸でよく見られる小さなヤドカリの名前と、成長の過程について詳しく解説します。
小さなヤドカリの正体は「ホンヤドカリ」
南紀の潮だまりで最もよく見かけるヤドカリのひとつが【ホンヤドカリ(Pagurus filholi)】です。
・体長は数ミリ~3cmほどの個体が多く、潮間帯(ちょうかんたい)と呼ばれる干潮と満潮の間に多く生息しています。
・写真のように小さな巻貝を背負い、器用に歩き回る姿が特徴です。
・前脚の片方がやや大きい「左右非対称のはさみ」も見分けのポイントです。
・貝殻は成長に合わせて交換しながら生きていきます。
ホンヤドカリは大きくなる?その成長の秘密
ホンヤドカリは生涯のうちに何度も脱皮し、少しずつ成長していきます。
ただし、種としての最大サイズは限られており、大きくても体長3〜4cm程度です。
大型のヤドカリと比べるとあまり大きくなりませんが、その分、潮だまりや岩陰など限られた空間に適応して暮らしています。
ヤドカリと巻貝の関係|貝殻は「借家」
ヤドカリは自分で貝殻を作ることができません。
そのため、巻貝が死んだ後に残る殻を“借家”として再利用しています。
南紀の海岸では、以下のような巻貝が「殻の供給源」としてよく利用されます:
・イボニシ(Thais clavigera)
・シマメノウフネガイ
・マツカサガイ
・アマオブネ
これらの貝殻が不足すると、ヤドカリ同士の“家の取り合い”が発生することも。
どこで観察できる?|ホンヤドカリの見つけ方
ホンヤドカリを探すには、潮が引いた直後の干潮時がおすすめです。
以下のような場所を丁寧に探してみましょう。
・岩のすき間
・小石の下
・タイドプール(潮だまり)の浅場
・転石帯の陰
しゃがんで目線を下げると、ゴソゴソ動く小さな貝殻が見えるはずです。
まとめ|小さな命に宿る自然の奥深さ
ホンヤドカリは、決して目立つ存在ではありませんが、南紀の豊かな海の生態系の一員として重要な役割を果たしています。
身近な潮だまりに広がる小さな自然を、ぜひ一度じっくり観察してみてください。
ヤドカリの生きざまから、自然との共存の知恵を感じることができるはずです。


