春から初夏にかけて、和歌山・南紀の沿岸部ではアオリイカの産卵行動がピークを迎えます。
「どんな海藻に卵を産むの?」「どのくらいの水深?」「卵はどれくらい頑丈?」「何日でふ化するの?」「1杯でどれだけ産むの?」――
今回は、釣り人・研究者両方から注目されているアオリイカの産卵と卵の特徴について、あらゆる角度から詳しくご紹介します。
■ アオリイカはどんな海藻に産卵する?
● もっとも好むのは「ホンダワラ類」
・アオリイカが最も産卵するのは、ホンダワラ類(褐藻)と呼ばれる、春から初夏にかけて繁茂する大型の海藻です。
・中でもアカモク、オオバモク、マメタワラなどが好まれます。
● その他の藻類や構造物にも産卵する
・アマモやカジメなどの緑藻・茶藻類
・さらには、漁礁・ロープ・沈めた枝といった人工物にも産み付けられることがあります。
■ 海藻のどの部分に産みつける?
アオリイカは、海藻の**枝分かれした部分(分枝)**の根元に、**卵塊(らんかい)**を束状にまとめて産み付けます。
・産み付ける場所は水中で安定しており、潮に揺れすぎない場所
・海藻の根本よりも中層〜上部の枝部分が多い
・藻が絡まりやすく、産卵中に他の生物に邪魔されにくい構造が好まれる
■ 産卵する水深は?浅い?深い?
・一般的には1〜5m前後の浅場
・日光が届き、海藻が生育するエリアが主な産卵場所となります
・ただし透明度の高い海域では10m前後までの水深でも確認されています
特に和歌山南紀では、磯際や地磯のワンド・漁港内の藻場などが最も産卵が多く見られる場所です。
■ 卵の形状・構造は?どのくらい頑丈?
アオリイカの卵は、透明で細長い楕円形のカプセル状です。
・1本の房に20〜30個ほどの卵が詰まっており、それが数十本束になった卵塊となります
・この卵は、粘液で固められており非常に丈夫です
・波や小魚の接触では壊れず、手でちぎろうとしても強く粘るほどの強固さを誇ります
この構造によって、海中でも長期間安定して卵を保護できるのです。
■ 卵がふ化するまでの日数は?
アオリイカの卵は水温によってふ化までの日数が変わります。
| 水温 | ふ化までの期間(目安) |
|---|---|
| 20℃ | 約30日 |
| 22℃ | 約25日 |
| 24℃ | 約20日 |
| 26℃以上 | 約15~18日 |
特に5月下旬~6月は水温が上がってきており、ふ化が早まる時期でもあります。
■ 1杯でどれくらいの卵を産むの?
アオリイカのメス1杯が産む卵の数は以下のとおり。
・小型メス(1kg未満):約3,000~5,000粒
・大型メス(2~3kg):8,000~12,000粒ほど
卵塊は複数回に分けて産みつけるため、1カ所に大量の卵塊が形成されることも多々あります。
■ 産卵行動の流れとペアの行動
アオリイカの産卵はペア(オス・メス)が一緒に行動します。
-
オスがメスを誘導
-
産卵場所を一緒に確認
-
メスが卵を産み、オスが周囲を警戒
-
一定時間ペアリングを保ったまま産卵継続
このため、産卵期の藻場には複数のペアが同時に集まり、大型のアオリイカがウロウロしていることもあります。
■ 釣り人が知っておきたい注意点
● 卵塊がある藻場は釣りに最適だが注意も必要
・アオリイカは産卵のために集まってくるので、チャンスが大きい
・しかし、エギやヤエンを使うと根掛かりやロストが多発するため、ウキ釣りがベスト
・また、産卵直後の個体は神経質で警戒心が強いため、仕掛けや動作もソフトにする必要があります
■ アオリイカ産卵と海藻に関するまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 好む海藻 | ホンダワラ類(アカモク、オオバモクなど) |
| 産卵位置 | 枝分かれした中層の分枝部分 |
| 水深 | 1~5m(透明度高い海では10mも) |
| 卵の構造 | 粘液で強固に結束されたカプセル状 |
| ふ化日数 | 水温20〜26℃で15〜30日前後 |
| 卵の数 | 1杯で3,000〜12,000個 |
■ おわりに:アオリイカ産卵シーズンは今がチャンス!
和歌山・南紀では、5月後半~6月中旬が産卵シーズンの最盛期。
この時期は、大型のアオリイカを狙う最大のチャンスでもあります。
藻場に産卵に来る個体はサイズも大きく、3キロオーバーが狙える夢の季節です。
ぜひ、釣行の際は藻場を丁寧に観察し、アオリイカの産卵環境に配慮しながら楽しんでください。
ウキ釣り・冷凍アジでも、十分にチャンスはあります!


