釣り人の間では昔から言われている常識があります。
「釣った魚は、その日のうちに食べるのが一番うまい!」
しかし、これは本当に“正解”なのでしょうか?
最近では、あえて1日〜数日寝かせて熟成させる派の釣り人も増えています。
この記事では、釣った魚を当日食べる vs 寝かせて食べるどちらが美味しいのか、科学的な視点からわかりやすく解説します。
■ 魚の味を決める「旨味成分」とは?
まずは基本から。
魚の「美味しさ」は、以下の3大旨味成分によって決まります。
| 成分名 | 主な特徴 | 増えるタイミング |
|---|---|---|
| ATP(アデノシン三リン酸) | 筋肉内のエネルギー源。死後すぐは多いが急激に減少 | 死後すぐに高いが、すぐ減る |
| IMP(イノシン酸) | 旨味の主成分。死後にATPが分解されて増える | 死後数時間~数日でピーク |
| グルタミン酸 | アミノ酸由来の旨味。魚種により含有量が異なる | 時間とともに微増することも |
結論を先取りすると…
✅ 釣った直後は「新鮮さの歯ごたえ」が売り。
✅ 一晩寝かせると「旨味が増して味が濃くなる」。
■ 【死後硬直】がポイント!魚はすぐ食べるべきではない理由
魚は釣り上げられた直後から「死後硬直」という現象が始まります。
これは筋肉が硬くなる生理現象で、種類やサイズによって違いはありますが、一般的に以下のように推移します。
| 魚種 | 死後硬直の開始 | 硬直のピーク | 硬直の解除(旨味が増す) |
|---|---|---|---|
| アジ・イワシ | 約1〜2時間 | 3〜5時間 | 6時間後〜翌日 |
| タイ・ヒラメ | 3〜6時間 | 6〜12時間 | 24時間〜48時間 |
| ブリ・カンパチ | 6〜12時間 | 12〜24時間 | 2〜3日後 |
この「硬直中」は、身が硬く、旨味成分も未生成。
つまり、**釣った直後の魚は「まだ味が完成していない状態」**なんです。
■ 寝かせると旨くなる理由は「ATP→IMP」分解
魚が死ぬと、筋肉内のATP(エネルギー源)が分解され、
ATP → ADP → AMP → IMP(旨味成分)
という流れで変化します。
このIMPこそが、刺身や煮物で「味が濃い」「口に旨味が広がる」と感じさせる主成分です。
つまり、IMPが生成されるまで寝かせた魚の方が、旨味が強いということになります。
■ 当日に食べた方がいい魚 vs 寝かせた方がいい魚
釣った魚はすべて寝かせれば良いというわけではありません。
以下のように分類できます。
▶ 当日がベストな魚(鮮度勝負・水っぽくなる前に)
| 魚種 | 理由 |
|---|---|
| アジ | 小型は硬直も早く、鮮度のコリ感が魅力 |
| イワシ | 痛みが早く、寝かせるとすぐ崩れる |
| サバ | 締めサバやしめ具合が難しい。新鮮さ命 |
▶ 寝かせて旨味が増す魚(熟成向き)
| 魚種 | 理由 |
|---|---|
| マダイ | 1〜2日で旨味が強くなる |
| カンパチ・ヒラマサ | 2〜3日寝かせると刺身の甘みが出る |
| ブリ | 2日〜熟成で脂と旨味のバランスUP |
| クエ・アカハタ | 3〜5日寝かせると別物の味わいに |
■ 注意!寝かせすぎは劣化につながる
熟成によって旨味が増すのは事実ですが、腐敗との紙一重でもあります。
・冷蔵は必ず0℃前後をキープ(海水氷がおすすめ)
・内臓はすぐ取り除くこと(菌の繁殖防止)
・寝かせるならドリップ対策に「キッチンペーパー+ラップ」で包む
■ まとめ:釣った魚は「いつ食べるか」で味が変わる!
✔ 「新鮮=うまい」は一部正解。でも、硬直中は旨味ゼロ
✔ 旨味成分(IMP)は死後1〜3日でピークを迎える
✔ 魚種により「当日がベスト」と「寝かせて旨い」がある
✔ 寝かせるには適切な冷却と処理が不可欠
🐟結論
✅ 釣った魚は当日食べても旨いが、最も旨いタイミングとは限らない。
✅ 「鮮度のコリ感」と「旨味の熟成」は、別モノ。食べ方で選びましょう。
釣ったその日に「刺身」として食べ、翌日に「漬け丼」、3日目に「塩焼き」――
そんな楽しみ方ができるのも、釣り人だけの特権です!


